研究領域 | 変わりゆく気候系における中緯度大気海洋相互作用hotspot |
研究課題/領域番号 |
19H05698
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
立花 義裕 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10276785)
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研究分担者 |
柏野 祐二 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 教授 (00421876)
榎本 剛 京都大学, 防災研究所, 教授 (10358765)
滝川 哲太郎 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (10371741)
本田 明治 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20371742)
木田 新一郎 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (50543229)
相木 秀則 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (60358752)
加古 真一郎 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (60709624)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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キーワード | 大気海洋相互作用 / 中緯度大気海洋相互作用HotSpot / 豪雨豪雪・異常な気象・気候と中緯度海洋 / 中緯度大気海洋遅延連鎖結合 / 日本海・東シナ海・オホーツク 海 / 対馬暖流・黒潮・大気海洋連動観測 |
研究実績の概要 |
異常天候をもたらす「犯人」は大気だけなのか?東アジアには縁辺海(東シナ海・黄海・日本海・オホーツク海)が存在する.縁辺海は,海洋上を東進する低気圧の「ゆりかご」である.ゆりかごの中で動く低気圧は,ゆりかごを再び揺らし,また低気圧を揺らす.言い換えれば,「縁辺海上で発生した低気圧に伴って吹く風は海流を駆動し、海流による熱の輸送は水温分布を変える.水温は海面での熱交換を経て気圧分布に反映され風系を変え,その風がまた海流を駆動する.つまり大気と海洋は不可分一体の平衡状態または振動系である」この新概念を船舶等による機動的観測と技巧的数値実験を融合し実証することを研究目的とする. 2022年度は冬期日本海観測を実施した.この観測で,観測史上最強寒波の下で日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)を1時間毎のラジオゾンデ観測によりその実態を捉えることに成功した.また2022年度には東シナ海の黒潮海洋前線近傍において梅雨と海洋の三隻同時観測を行った.このような海洋上の同時観測は世界で初めてである.黒潮前線と大気の前線が同期した豪雨を観測によってその大気海洋立体構造を捉えることに成功した.また海が豪雨に及ぼす影響についての気象庁と共同観測を実施した.これら観測データを同化した実験も開始した. これらに平行して,海洋が大気に及ぼす影響や縁辺海の長期変動に関する数値的統計的研究を2021年度から引き続き実施した.大気海洋の物理過程が,海洋生物生産過程へ及ぼす影響についての調査も2021年度から継続して実施した.また気象キャスター等と連携した一般マスメディアでの情報発信活動も積極的に行った.海氷や海面水温が厳冬に及ぼす効果や,海水温度と同期した気候のレジームシフトによる近年の猛暑,台風の進路誤差の研究,日本海の水温の長期トレンドなど特筆すべき新たな研究成果が原著論文となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ中にも拘わらず,2冬目になる冬期の日本海観測を成功させ,史上最強寒波の下でのJPCZの中心部での1時間毎のラジオゾンデ観測に成功した.このJPCZは史上最強のJPCZであり,これは当初の予想を上回る成果であった.さらに気象庁との共同研究を開始したことも,当初の予想を上回る研究の進展であった.またコロナのため1年遅れで実施した梅雨期の三隻同時観測も成功し,豪雨を捉えることに成功した.全球予報モデルを用いた縁辺海で発生した台風や爆弾低気圧の予報実験を行いメカニズムや予測可能性を調べるとともに、アンサンブル変分法に基づくデータ同化手法の特性に関して調査した.また,中止となったいくつかの会合の代替としてオンラインにて会合を行ったことで,研究の遅延を避けることが出来た.また,観測以外の数値的研究は順調に原著論文としてその成果を公表することができ,海氷や海面水温が厳冬に及ぼす効果や,気候のレジームシフトに伴う猛暑多発,台風の進路誤差の研究,日本海の水温の長期トレンド,偏西風蛇行に及ぼすサヘル雨雲の影響など特筆すべき新たな研究成果が原著論文となった.また,研究成果の記者発表を複数回行った.それらは新聞やテレビなどで多数報道された.
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今後の研究の推進方策 |
コロナの影響で梅雨期の観測が1年遅れて観測を実施した.その成果の論文執筆を進める.また,二度目の冬期の日本海観測の論文の執筆も進める.それら観測結果と数値実験を融合した研究に発展させ,海洋が大気へ及ぼす影響と大気が海洋へ及ぼす影響の双方の理解を進展させる.また国際学会などでの発表を活性化させる.また,それ以外の研究項目は当初の予定通り進め,本計画研究の目的を達成するため,以下の活動を前年度から継続する. 1) 大気・海洋の数値実験の予備実験を実施する.例えばデザイン設定等は,仮定的においた海面微細構造とそれを解除した設定で予備実験を開始する.予備実験では過去に豪雨や豪雪をもたらした事例を中心に行い,モデリングの結果は翌年の観測計画(集中域の設定など)にも反映させる. 2) 観測成果と数値的研究を有機的連携し研究を円滑に行うために,研究の打ち合わせ対面会合を頻繁に行い,研究との融合を進める. 3) WEBやSNSでの情報発信はもちろんのこと気象キャスター等と連携した一般マスメディアでの研究情報発信活動を実施し,成果の記者発表などを行う.
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