研究領域 | マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解 |
研究課題/領域番号 |
19H05706
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
小松 雅明 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90356254)
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研究分担者 |
和栗 聡 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30244908)
杉浦 悠毅 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30590202)
李 賢哲 順天堂大学, 医学部, 助教 (30758321)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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キーワード | オートファジー / 選択的オートファジー / p62 / NCoR1 / 液-液相分離 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、マクロオートファジー選択的基質である「酸化ストレス制御タンパク質p62/SQSTM1」や「核内受容体抑制タンパク質NCoR1」をモデル基質とし構造生物学、生化学、細胞生物学を駆使して解析し、選択的マクロオートファジーの普遍的な分子機構に迫る。さらに、オートファジー欠損マウスや選択的オートファジー阻害マウスにおける基質タンパク質群の変動、その結果として起こる細胞生理機能の変化をオミクス解析により検証し、個体における選択的マクロオートファジーの生理機能の解明を目指す。今年度は以下の課題を推進した。 (1)選択的マクロオートファジーによるp62分解の生理的意義 Neighbor of BRCA1 gene 1 (NBR1)は、p62と同様のドメイン構造を有する選択的オートファジーアダプタータンパク質であり、p62の結合パートナーである。今回、細胞内のp62液滴形成およびNrf2活性化におけるNBR1の役割を調べた。その結果、NBR1はp62の液-液相分離を促進しp62液滴にKeap1を隔離することで、Nrf2を活性化させるストレス調節因子であることが分かった。 (2)選択的マクロオートファジーによるNCoR1分解の生理的意義 オートファジー、あるいはATGタンパク質が脂肪滴生合成や分解に関与することが提唱されているが、その分子機構は不明な点が多い。今回、オートファジーはNCoR1の発現レベルを微調整することで脂肪酸合成と分解を制御することが分かった。オートファジー欠損マウス肝臓では脂肪滴が蓄積するという報告と減少するという報告があり論争となってきたが、少なくともAtg5、Atg7を欠損させたマウス肝臓ではNCoR1の分解異常により脂肪滴は減少すると結論づけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
選択的オートファジーに関わる遺伝子改変マウスの作出、それらマウスの研究分担者との共同研究、そしてオートファジー選択基質p62液滴の精製方法など新たな手法の確立を進めており、それらから新しい知見が得られることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
計画調書の研究計画を着実に推進する。また、ごく最近、我々が発見したユビキチン様修飾反応系Ufm1システムと小胞体の選択的オートファジーの関連が明らかになってきことから、その分子機構の解明も目指す。
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