今後の研究の推進方策 |
(1)相分離依存的な選択的オートファジー基質の網羅的探索 熱、浸透圧、pH、栄養飢餓など様々なストレス下にある細胞からp62液滴・ゲルを精製するとともに、HyD-LIR(TP)-Venusを発現させた細胞(選択的オートファジー阻害細胞)にも同様に様々なストレスを与え、細胞抽出液を調製する。これら精製p62液滴・ゲルや細胞抽出液の統合的プロテオミクス解析により様々な環境ストレス下におけるp62相分離依存性オートファジー分解基質の同定を目指す。 (2)相分離依存性選択的オートファジーの分子メカニズム (1)より同定されたp62相分離依存性選択的オートファジー基質候補群の二次スクリーニングを革新的タンパク質構造計算ツールAlphafold2-Multimer(Jumper et al., Nature, 596, 583-589, 2021)を駆使して行う。選択的オートファジーには基質とLC3やGABARAPをはじめとしたオートファジー関連タンパク質(ATGタンパク質)を繋ぐ受容体が必要であり、主要な受容体としてp62, NBR1, NDP52, OPTN, TAX1BP1が知られている(Lazarou et al. Nature, 524, 309-314, 2015)。基質候補群とp62, NBR1, NDP52, OPTN, TAX1BP1との複合体形成をAlphafold2-Multimer により予測する。複合体形成が予測された場合、生化学、分子細胞生物学的解析により相互作用、細胞内局在解析を進めるとともに、薬理学・遺伝学解析による基質群の細胞および個体レベルにおけるオートファジー分解を調べる。
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