計画研究
水圏機能材料の多くは自己組織化(液晶化、ホスト-ゲスト反応など)して秩序構造を形成する。その際、材料分子側は水分子の強い極性に誘起され、凝縮相特有の部分電荷の再配置(分極)が生じる。この部分電荷を量子化学的に精密に決定するマルチフィジックス的手法を提案・活用して、たとえばイオン液晶膜の構造予測および材料中の水の状態についての解析に成功した。さらに、生体親和性高分子中の水分子の赤外吸収スペクトルの比定など、従来は低分子溶液でしか対比できなかった分光学データとの直接比較を実現するスキームを提案した。イオン液晶中の水において、水素結合状態の異なる 4 種類の水が分類できることがわかった。これらは、疎水基中、チャネル中において孤立、官能基に結合、他の水分子と結合であるが、チャネル中の水の分量によって、それぞれの自由エネルギーに基づく安定性が異なり、クラスター数や拡散性が変化する。この知見は、従来のバルクにおける水和の概念を拡張させる必要性を示した。高分子近傍における水分子は、熱量測定に基づく不凍水、中間水、自由水の概念が提案されていたが、高分子主鎖あるいは官能基からの距離で分類した配向因子の解析においても類似の定義が可能であることを示した。また、水と水圏機能材料の直接の相互作用(第一水和圏)だけではなく、その周囲(第二水和圏)の水分子間の水素結合ネットワークが水のダイナミクスに重要であることも見出した。水と材料の引力が強すぎると、その周囲の水素結合ネットワークが壊され、水の回転運動が加速される「負の水和状態」の分子スケールにおける描像を明らかにした。さらに、材料周囲の水の回転緩和の説明変数として規格化した水素結合数を提唱した。得られたメカニズムを高分子周囲の水の動態の理解にも適用した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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