研究領域 | 出ユーラシアの統合的人類史学:文明創出メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
19H05732
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鶴見 英成 東京大学, 総合研究博物館, 助教 (00529068)
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研究分担者 |
杉山 三郎 愛知県立大学, 外国語学部, 名誉教授 (40315867)
山本 睦 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (50648657)
光本 順 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (30325071)
北條 芳隆 東海大学, 文学部, 教授 (10243693)
笹生 衛 國學院大學, 神道文化学部, 教授 (60570471)
後藤 明 南山大学, 人文学部, 教授 (40205589)
片岡 修 上智大学, アジア人材養成研究センター, 客員教授 (90269811)
野嶋 洋子 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 外来研究員 (50586344)
関口 和寛 国立天文台, 研究力強化戦略室, 教授 (20280563)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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キーワード | モニュメント / メソアメリカ / アンデス / 古墳 / オセアニア / LiDAR / 景観 / 認知天文学 |
研究実績の概要 |
メキシコでは次年度以降のドローンLiDAR測量に備え、杉山がテオティワカン遺跡周辺を踏査し、現有の図に追補拡充すべき地形や遺構を検討した。モンテアルバン遺跡とチョルーラ遺跡で現地協力者と共にLiDAR測量計画を検討し、前者では発掘を行った。また国際会議を開催し本新学術領域の根本的な理論構築と研究戦略を討議し、国際フォーラムで現地社会に成果発信した。 ペルーでも航空LiDAR測量の準備として、鶴見と山本が現地協力者と共に航空写真測量を進め、テルレン=ラ・ボンバ遺跡等の研究に貢献するとともに、法制に従ったドローン運用法や技術的課題を実地で検討した。山本はインガタンボ遺跡の発掘準備を進め、またエクアドル南部セロ・ナリオ遺跡等で発掘と航空測量を行った。 日本では、笹生が縄文・弥生・古墳時代の遺体・人骨の基礎データ抽出と、データベース入力フォーマットの設計を進めた。北條は古墳や神社等の方位、近世城郭の天守閣の正面観と、周辺景観・天文景観との関係を問う目的で事例集成と図上分析を行い、伊勢・熊野の寺社仏閣ではGPS観測を伴う踏査を実施した。光本はドローンによるLiDAR測量に必要な研究環境を整備し、技術的課題を検証し、造山古墳群の測量に着手した。 オセアニアでは後藤・片岡がグアムの洞窟遺跡を視察し、また野嶋らと共にミクロネシア連邦ポーンペイ島で巨石遺跡群を踏査して、他団体による測量プロジェクトとの情報交換を図りつつ、測量と発掘の対象地を検討した。野嶋はバヌアツのウレパラパラ島の祭祀遺跡群の現状把握調査を行い、次年度以降の測量調査を立案した。 関口と後藤は天体を含めてヒトの認知する景観を分析すべく、天文シミュレータの開発を準備しており、自然地形や遺構の既存の3次元データの精度や、既存のソフトウェアの検討を行った。また暦に関する国際研究会を開催した(新型コロナウイルスの影響で20年度に延期)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題(A01班)の19年度の活動は、次年度以降のための機材の調達整備やシステム開発の準備に充てる内容が多く、それらはおおむね達成された。メソアメリカ、アンデスでは次年度以降の大規模調査に備えた学際的な体制が整い、またメキシコでは国際的なアウトリーチ活動も実現した。オセアニアでは調査方法や調査対象地についての解決すべき課題が明確になった。日本ではデータベース作成や図上での検討はもちろん、機材準備を含む研究環境整備にやや時間を要した航空LiDAR測量も問題なく実施に至り、次年度以降の測量計画の具体的検討が可能となった。認知天文学に関しては天文シミュレータ開発の準備を整えることができ、延期せざるを得なかった国際研究会も20年度に開催することで当初目標を達成した。各自の研究内容と年度内の進捗については、随時リモート会議を開き、議論と情報交換を交わす体制が整えられている。
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今後の研究の推進方策 |
フィールドワーク、とくに海外調査が多いという点において、本研究課題は19年度末頃から新型コロナウイルス流行の影響を受け始め、とくに20年度から制約が大きくなった。そこで21年度に向けて、研究の目的と水準を維持したまま、方法を調整することで実現可能なプランを検討してきた。測量機材の構成を見直す、日本を離れず現地協力者とリモートで共同研究を進める、といった具体的な方策を各自実行に移している。また研究の統合については随時研究会を開催して討論し、テーマに応じて他の研究計画班と横断的なユニット・スタディを展開している。
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備考 |
アウトリーチとして、各分担者は日本国内で講演するのみならず(アンデス文明研究会における山本の講演など)、メキシコの公開国際フォーラムで鶴見、杉山、井上(研究協力者)が現地の研究者や市民向けに研究を紹介した。
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