研究領域 | 出ユーラシアの統合的人類史学:文明創出メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
19H05735
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
大西 秀之 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (60414033)
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研究分担者 |
稲村 哲也 放送大学, 教養学部, 特任教授 (00203208)
清水 展 関西大学, 政策創造学部, 特別任用教授 (70126085)
木村 友美 大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (00637077)
須田 一弘 北海学園大学, 人文学部, 教授 (00222068)
河合 洋尚 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 准教授 (30626312)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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キーワード | 認知・行動様式 / 身体 / 生存戦略 / 景観 / 環世界 |
研究実績の概要 |
本年度は、新型コロナ・ウィルス(Covid-19)感染症の世界的流行により、大幅な計画の変更や中断を余儀なくされた。とりわけ、海外の民族誌フィールドにおいて調査を行うことは、B01班の計画の中核であったため、抜本的な見直しを迫られる事態となった。しかし、このような状況に対して2020年度は、web会議システムを用いてオンライン研究会を開催し、メンバー間で研究に関する相互理解を深めるとともに、グル-プ全体の目的、進捗、方向性を議論した。具体的には、4回の班会議と5回の研究会を開催した。これら班会議と研究会により、本計画班のみならず領域全体の目的や活動状況を把握するとともに、どのように貢献を果たすか協議し共通理解を得ることができた。その結果、所属メンバー個々の研究成果と合わせ、本計画班の目標を達成することができた。詳細は、前述の3つの目的に沿って提示する。 いっぽう、2020年度中は、コロナ禍で個別メンバーの海外調査ができなかったため、ユニット研究や共同研究などを積極的企画し実施した。また第3回・第4回の全体会議では、代表者1名・分担者5名・協力者5名が口頭発表・コメント・ポスター報告を行い、各自の調査研究計画と領域全体に対する貢献を提示した。なお詳細に関しては、本領域の『2020年度報告』(http://out-of-eurasia.jp/images/2020reports.pdf)「B01班活動報告」(81-113頁)を参照願いたい。 以上のような活動を基に、本年度は、学術雑誌論文24本(和文7本・英文16本・中国語1本)、書籍掲載論文10本(和文8本・英文2本)、単著・編著8編(和文7編・英文1編)、発表講演37(日本語28・英語9)を刊行・報告することができた。各詳細に関しては、本報告と前掲書『2020年度報告』「業績」(225-229頁)を参照願いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、前述したように新型コロナ・ウィルス(Covid-19)感染症の世界的流行により、海外での民族誌(現地)調査に関しては大幅な計画の変更や中断を余儀なくされたものの、オンラインで共同研究やユニット研究などを行うことで、全体としてはグループや領域全体に貢献しうる業績を少なからず達成することができた。このため、現地調査によるインプットができなかった反面、本計画班として中間評価に向けて掲げた計画に関しては、おおむね達成できたと評価できる。 具体的には、①科学研究の「実践の場」における民族誌研究、②身体を対象とした自然科学的研究、③人類史的な時間軸での民族誌研究、という申請時に計画したテーマごとに提示する。まずテーマ①に関しては、全体会議や「景観ユニット」などで考古学を中心とする領域研究に参画する他分野と積極的に議論を交わすことにより、科学研究に内包されている「自文化」ないしは「西洋近代」中心主義的な視点に対する批判的検討を行うことができた。次にテーマ②に関しては、「食と栄養ユニット」を組織し民族誌フィールドにおける調査法やデータ収集法や、近代化や開発を契機として食文化を含むライフスタイルの変化が身体に与え影響などといった議論を行うとともに、研究分野を超えた連携や統合の可能性を追究した。最後にテーマ③に関しては、本計画研究班が主催した第3回全体会議において、非/前近代社会を対象としてきた文化/社会人類学の成果から、近代的な視点とは異なる国家や文明に対する視座を提示するとともに、『年報人類学研究』13号において「民族誌で文明を語る」という特集を企画することができた。 以上のように、本年度は、コロナ禍の中にあっても可能な対処を模索し、B01班が設定した研究計画を概ね推進した。とりわけ、中間評価に向け領域全体に貢献を果たしうる、一定程度の成果を得ることができたと評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画としては、基本的には昨年度と同じく各メンバーがそれぞれのテーマ、方法、ディシプリンに基づき、当該地域社会に暮らす人々の文化的実践に伴う認知と行動に関する基礎データを収集する。具体的には、地域間の比較に加え、①生業・生産活動、②儀礼・宗教実践、③生理的身体活動、といったテーマや対象を共同調査・研究により最大限関連づけ、当該社会の人々の認知や行動が形成されている要因や背景に多角的・包括的なアプローチを試み、出ユーラシアにより多様な自然環境に進出・適応を果たすとともに文明形成の基盤となった現生人類のニッチ構築の能力を検討する。 以上のような計画の下、次年度(2021年度)以降は、新型コロナ感染症問題に最大限配慮し国内外の社会情勢を見極めつつ、次のような活動を適時推進する。まずなるべく早期にメンバー全員が参加する会合の機会を設け、2020年度の活動結果を踏まえた上で、特にコロナ禍で実施できなかった現地調査を中心に該当年度における個々のメンバーと班全体の計画を決定する。またその計画に従い、現地調査を実施し目的とするデータ収集など成果の蓄積を進める。そして年度末には、調査データ・成果の比較検討を目的とした研究会合を設け、メンバー全員で情報共有に努めるとともに次年度の計画を策定する。なおA01~C01までの他班から選定したメンバーを本研究班の会合に招待し、発表やディスカッションなどを通して意見交換を行い、各グループとの共同・連携を深めるとともに、データ・成果の共有とその利用方法、領域全体に資する調査研究の方向性、問題解決のための共同研究を推進する。これに加え、民族誌調査を実施する公募研究の代表者と会合の機会を設け、本研究グループと共同・連携を行うための具体的な調査・研究計画を立案する。
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