計画研究
研究計画においては、DNA複製後の新生鎖における転写因子の標的ゲノム配列への結合の回復を評価する方法として、標識された新生鎖をATAC-seq法で解析する方法を提案したが、本法は最近他のグループからRepli-ATAC-seq法として報告された。現在、この方法のプロトコールの検証を進めるとともに、研究領域内の共同研究により、安価な自家製酵素を用いた実施法の最適化を進めている。M期染色体に結合する、mitotic bookmarkerの候補となる転写因子として、免疫染色法を用いた解析により、Utf1とDppa2/4を新たに同定した。そこで、これらの遺伝子について、Crispy/Cas9法により機能欠損ES細胞を作成した。また、細胞周期における転写因子ネットワーク複製効率を定量的に評価する系として、多能性関連転写因子ネットワークの鋭敏なマーカー遺伝子であるRex1/Zfp42遺伝子に、細胞周期マーカーtFucciをノックインしてその発現をモニターする方法を新たに考案した(Rex1-tFucci)。新たに作成したノックインベクターを野生型ES細胞に導入し、細胞株を作成したところ、これらの細胞では未分化状態特異的にtFucciの発現が確認された。また、そのCrispr/Cas9を併用した際の導入効率は極めて高く、これまでに樹立している各種変異型ES細胞株にも容易に導入可能であることが確認された。
2: おおむね順調に進展している
repli-ATAC法が他のグループから報告されたことは、方法自体の新規性を損なうものではあったが、これを直ちに導入することにより、研究は順調に進展している。また、この点を補う方法論として、Rex1-tFucci法を開発した。
研究計画の概要は変更することなく、研究を推進できるものと考えている。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Developmental Cell
巻: 52 ページ: 429-445
10.1016/j.devcel.2020.01.010.