計画研究
誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)は、一般に元素分析のための質量分析計として主に半導体や環境分野の分析に利用されている機器であるが、近年、生命科学分野への応用展開研究が模索されている。生命科学分野でICP-MSを活用するには、単なる元素の定量分析計として利用するだけでなく、いくつかの応用分析法を導入することによって、得られる情報が飛躍的に増大する。本研究では、①生体内・細胞内での金属・元素の存在状態を明らかにするスペシエーション(化学形態別分析)、②組織内金属分布のイメージングを可能とするレーザーアブレーション法、③一細胞中の全元素を網羅的に測定するシングルパーティクル法を生命金属に特化し、高度化させて、従来法では得ることの難しかった生命金属情報を得ることを目的としている。さらに、高度化させた測定技術を領域内でも共有することにより、本領域の目指す「生命の金属元素戦略」に貢献することも目指す。本年度は、上述の①~③について、以下のような成果を得た。①従来のレーザーアブレーション法では、元素の存在量しか知ることができなかったが、レザーキャプチャマイクロダイセクション法を取り入れ、スペシエーションと組み合わせることにより、元素の化学形態まで知る方法の構築に着手した。②レーザーアブレーション法の定量性を向上させる方法を開発した。③従来法では、ほ乳類細胞の分析が難しかったが、新たな細胞導入法を開発し、評価を行った。領域内連携では、主に細胞内の元素濃度を測定する技術を提供し、いくつかの共同研究成果を得た。
2: おおむね順調に進展している
レザーキャプチャマイクロダイセクション法とスペシエーションを組み合わせる方法では、化学形態の異なる水銀化合物を投与した際に、異なる生体内分子と相互作用することを確認できている。引き続き実験条件をbrush-upし、成果発表に繋げる。レーザーアブレーションの定量性向上に関する原著論文を公表した。一細胞分析における細胞種毎に導入効率が変わることを定量的に把握し、その成果を原著論文として公表した。この成果は国際共著論文である。
レザーキャプチャマイクロダイセクション法とスペシエーションを組み合わせた方法の開発を引き続き行い、外来性の金属元素の測定に留まらず、内因性の必須金属での測定も行い、その応用性を評価する。上述の②と③を組み合わせた方法の開発を目指し、レーザーアブレーションによる臓器・組織レベルでの分析から一細胞レベルでの分析に応用が可能か評価を行う。また、新たな細胞導入系の開発についても引き続き行う。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 5件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 6件) 図書 (2件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
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