計画研究
生命金属の理解には、組織構造や細胞配列を保持したまま、生命金属の分布や化学形を把握する必要がある。本申請研究では、生命金属動態をin situで理解する研究戦術として、放射光やプロトンなどの量子ナノビームを利用して非破壊的に生命金属動態を可視化、無処置・無染色で微細な組織・細胞構造あるいは細胞小器官や生体分子分布を把握するバイオイメージングと組み合わせた、バイオ・ケミカルイメージングの確立に取り組む。ナノレベルでの細胞構造と対応させた金属動態から局在・濃集の元素特性や形成機序を明らかにする。具体的には、薄切組織試料等の生体試料に対し組織微細構造特有の自家蛍光や反射光を高分解能で分離したハイパースペクトル等を利用しバイオイメージングを得る。同一試料について放射光やプロトンのナノビームを用い、非破壊分析であるSR-XRF(放射光蛍光X線分析)、PIXE(荷電粒子励起X線)分析、XAFS(X線吸収微細構造法)を組み合わせて元素分布・局在・化学形情報を取得しケミカルイメージングとする。両者を対応させることで生体内環境を限りなく保持した生命金属動態を解析する。本年度はケミカルイメージングの高度化として、高いエネルギーのビームを利用した放射光蛍光X線分析(SR-XRF)の感度向上や広視野イメージングの導入を主体に取り組んだ。マイクロPIXEによる軽元素の局所定量手法の確立も進め、これらのケミカルイメージング高度化により、リンやカルシウムなどの軽元素からカドミウムやウランなどの重金属までの生命金属分布動態解析を整備した。また軟組織に対する3次元計測に取り組んだ。バイオイメージングについては組織中元素局在部の検出モデルとして、各種官能基を有する樹脂を用いた自家蛍光等の取得を行った。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
X 線分析の進歩
巻: 55 ページ: 305-315
Biological Trace Element Research
巻: in press ページ: -
10.1007/s12011-024-04145-0
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B
巻: 553 ページ: 165386
10.1016/j.nimb.2024.165386