研究領域 | 機能コアの材料科学 |
研究課題/領域番号 |
19H05788
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴田 直哉 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (10376501)
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研究分担者 |
山本 剛久 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20220478)
石川 亮 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (20734156)
馮 斌 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (20811889)
栃木 栄太 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (50709483)
関 岳人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90848558)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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キーワード | 原子分解能局所電磁場観察 / 機能コア電磁場 / 機能コア3次元原子構造 / 機能コア電子状態 / 機能コアその場観察 |
研究実績の概要 |
当該年度は下記の成果が得られた. ①超高分解能磁場観察:本年度は原子分解能磁場フリー電子顕微鏡を用いて原子レベル磁場観察手法の開発に重点的に取り組んだ.ヘマタイト(Fe2O3)結晶から得られた原子分解能微分位相コントラスト(DPC)-STEM像に対して、原子電場と原子磁場を分離する画像フィルターを施すことで磁場信号のみを抽出し、原子磁場の実空間観察に成功した. ②原子分解能STEMによる表面機能コアの3次元構造解析:本年度は深さ断層STEM法と統計的解析手法を高度に融合することで、SrTiO3表面において0.9Åの深さ分解能を実現した.さらにこの手法を用いてSrTiO3表面における空孔、吸着原子とキンクなどの原子スケール欠陥の観察に成功し、表面機能コア原子構造の3次元再構成に成功した. ③Al2O3粒界移動メカニズムの解析:本年度は昨年度に開発した原子分解能粒界移動観察法を様々な方位のAl2O3粒界機能コアに適用し、粒界移動の原子スケール解析を行った。その結果、粒界移動は粒界コアの局所原子構造に強く依存しており、粒界コアの構造ユニットが逐次変化しながら移動する、または界面欠陥が形成されながら移動することが明らかになった. ④他班との機能コア材料連携研究: 本年度も構造用セラミックスや高機能薄膜材料を始めとする多様な材料における機能コア解析を他班と密接に連携して遂行した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本領域がスタートしてから三年弱の間に各種機能コア計測手法の開発、すなわち①機能コア局所電磁場の直接定量計測手法の開発、②原子分解能3次元機能コア構造・組成計測手法の開発、③機能コアその場観察・物性計測手法の開発、については当初の計画通りに進行している.手法開発やその応用に関する研究に関してはハイインパクトな国際学術論文も既に数多く発表されており、順調に研究が進展していると判断できる.また、本班は現在20件以上の領域内連携研究を推進している状況にあり、既に数多くの共同論文成果を報告している.よって、本研究は順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに各種機能コア計測手法開発を計画通りに進行しており、大きな計画変更はせず、引き続き計画通りの研究を推進する予定である.2022年度は、開発した計測手法を用いた各種機能コア解析研究に取り組む計画である.具体的には以下の研究項目を重点的に推進する予定である. ①原子分解能機能コア局所電磁場の観察:超高分解能電場観察法を様々な材料に応用し、イオン機能コア、電磁気機能コア、光機能コアなどの機能コアに形成された局所量子場の直接計測に挑戦する. ②原子分解能3次元界面構造解析:これまでに開発した原子分解能3次元観察法をさらに高度化し、金属微粒子のイオン機能コアやAl2O3粒界などの力機能コアにおける3次元原子構造観察を試みる. ③原子スケール界面電子状態計測手法の開発と応用:原子分解能STEM-EELS法に基づいた粒界機能コアフォノン状態やプラズモン計測手法を確立し、熱機能コアや電磁気機能コアへの応用を目指す. ④他班との機能コア材料連携研究:他班との連携を更に強化し、当班の研究の深化および他班の解析支援を推進することで、本研究領域の全体目標の達成に貢献する.
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