研究領域 | 蓄電固体デバイスの創成に向けた界面イオンダイナミクスの科学 |
研究課題/領域番号 |
19H05816
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
藪内 直明 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (80529488)
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研究分担者 |
林 晃敏 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10364027)
大久保 將史 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20453673)
菅 大介 京都大学, 化学研究所, 准教授 (40378881)
喜多條 鮎子 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (50446861)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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キーワード | 蓄電固体 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、本年度は蓄電固体界面材料の研究を通して、各種の電極材料・電解質の固体界面構造の制御手法を確立し、蓄電固体材料における各種の界面構造の役割の解明、また、得られた知見に基づきさらに高度に制御した電極・電解質材料の複合化も進め、ナノ界面構造に立脚した蓄電固体界面の新機能の発現を実現することを目的として研究活動を行った。 本年度は昨年度までの検討をもとにさらに、A04班内における研究者の相互理解と研究協力体制の構築を進めた。また、具体的な研究成果としても、従来の蓄電池材料のエネルギー密度を大きく超えるナノ構造を制御したマンガン系材料の創製、さらに、ナトリウムイオンを超高速輸送する固体電解質の発見、また、アニオンレドックスの可逆性を支配する各種因子の理解など、蓄電材料の進化に繋がる成果が引き続き得られている。また、公募班においても新しい原理に基づいた有機系イオン伝導体の材料の発見や、蓄電反応を活用することで磁性を制御可能なデバイスといった新しい多くの研究成果が得られており、次年度以降に、他グループとの共同研究がさらに進展することで、これまでは不明瞭であった各種の蓄電固体材料に関して、より詳細な学術的な理解が深まることが期待できる。これらの研究は蓄電材料のざらなる進展と高機能化に加えて、今後の各種の新蓄電固体デバイスの創製の実現への道筋に繋げることを目指して引き続き研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
蓄電固体材料は構造中の遷移金属イオンが酸化・還元し、その電荷補償の結果、構造中のイオンの濃度を任意に変化させることができる。一般に、固体中に高次元のイオン (+電子・ホール) 拡散経路を有し、固体中の界面 (粒界) 濃度が低い物質において、優れたイオン輸送特性が得られるとされていた。しかし、本年度は昨年度に引き続き従来の理論では説明できない新しい材料郡を発見しており、高インパクトファクターを有する学術論文誌において論文の公表、及び、プレスリリースを行っている。このような、異なる界面構造を有する固体材料において、イオン・電子輸送特性が全く異なるという現象論的な事実は、固体中の界面構造の重要性を明確に示すものであり、今後のさらなる研究の遂行が重要である。一方、このような界面構造の特性因子に関する理解は不十分であるところも残っていることから、今後、さらに学術的な理論の確立を目指し、詳細な研究をグループとして一丸となって進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
本研究における特徴的なアプローチとして、界面濃度が非常に高い材料は一般に準安定相であることを挙げることができる。従って、ポスト焼結プロセス(メカニカルミリング後の熱処理)における焼成温度と焼成時間などの条件制御により、核生成頻度と核成長速度を速度論的に制御し、通常の合成では得ることができない特異的なナノ界面構造を有する酸化物を合成することが可能であり、実際、このような手法により界面濃度の制御が可能であることが解明されつつある。 次年度以降は高圧法を駆使した準安定相材料の合成を基盤として、さらに、高度界面制御を実現する材料合成の原料に用いる準安定相試料を合成する。また、コロナウィルスの影響により複数研究チームでの材料研究が若干遅れているものの、来年度以降に検討を進める。現状ではうまくいっているものの、今後、メカニカルミリングでも材料の非晶質化を生じない場合も考えられる。このように計画がうまく進まない場合は、化学蒸着と物理蒸着法などの手法も活用することも検討する。このような準安定相を前駆体に使った材料合成手法を駆使することで高度に界面構造を制御した材料の合成が可能になると期待できる。さらに、液相プロセスによる高密度界面の形成、例えば、液相エッチングによるトップダウン式の界面形成や、液相結晶成長によるボトムアップ式の界面形成など、様々なスケールでの界面形成制御技術を確立し、得られた界面における特異的な電子・イオン輸送特性の発現を狙う。
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