• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

精子幹細胞における品質管理機構の解析

計画研究

研究領域生殖系列の世代サイクルとエピゲノムネットワーク
研究課題/領域番号 20062006
研究機関京都大学

研究代表者

篠原 隆司  京都大学, 医学研究科, 教授 (30322770)

キーワード幹細胞 / 精子形成 / 生殖細胞 / 移植
研究概要

精子幹細胞はホストマウスの精巣の中に移植すると特定の部位に移動して精子形成を再開することができる。このホーミング現象がどのようなメカニズムにより起こるかを調べるために、我々はsmall G蛋白質であるRac1遺伝子に注目した。Rac1遺伝子は精子幹細胞に強く発現しており、その活性は基底膜構成分子であるlamininへの接着により増強するが、自己複製分子であるglial cell line-derived neurotrophic factorへの暴露により発現が低下する。我々はRacl遺伝子を欠損した精子幹細胞を作成し、その細胞を用いて移植実験を行った。Rac1遺伝子を欠損した精子幹細胞は成体の移植ホストを用いた場合はコロニー形成を行うことができなかった。一方、血液精巣関門が未熟な生後間もないホストにおいては、移植効率の低下は認められなかった。このことから、Rac1遺伝子の欠損があると血液精巣関門を通過することができないことが予想された。この仮説を確認するために、Racの遺伝子機能をdominant negative体を精子幹細胞に発現させた場合、タイトジャンクションを構成する分子であるclaudin3,7,8の発現低下が起こることが分かった。さらに、実際にこのclaudin分子の低下が精子幹細胞のホーミングに関与しているか否かを確認するために、この遺伝子をノックダウンした精子幹細胞を移植すると、claudin3をノックダウンした場合に顕著なコロニー系性能の低下が観察された。これらの結果は、Racが精子幹細胞のホーミング過程に関与することを示すものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

Racは精子幹細胞の増殖に関与するのみならず、ホーミングに関与する分子であることも証明することができた点で当初の計画以上の進展であった。

今後の研究の推進方策

Rac分子の下流にどのような分子が関与しているのかを明らかにすると共に、Racの活性化がどのような分子メカニズムで起こるのかについても研究を進めていく予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] In vitro transformation of mouse testis cells by oncogene transfection2012

    • 著者名/発表者名
      T., Ishii, K., Toyokuni, S., Kanat
    • 雑誌名

      Biology of Reproduction

      巻: (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ges in EPCAM expression during spermatogonial stem cell differentiation in the2011

    • 著者名/発表者名
      -Shinohara M., Takashima S., Shino
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 6 ページ: e23663

    • 査読あり
  • [雑誌論文] nial stem cell homing to germline niches by regulating transmigration through2011

    • 著者名/発表者名
      ohara, M., Tanaka, T., Takehashi, M.
    • 雑誌名

      Cell Stem Cell

      巻: 9 ページ: 463-475

    • 査読あり
  • [学会発表] Derivation of stem cell lines from the male germline2012

    • 著者名/発表者名
      Takashi Shinohara
    • 学会等名
      International Workshop : Radiation Effects on Mutation in Somatic and Germline Stem Cell
    • 発表場所
      放影研(広島県)(招待講演)
    • 年月日
      2012-01-18

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi