研究領域 | 生殖系列の世代サイクルとエピゲノムネットワーク |
研究課題/領域番号 |
20062008
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡部 勝 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (30089875)
|
研究分担者 |
蓮輪 英毅 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (50343249)
磯谷 綾子 大阪大学, 微生物病研究所, 特任准教授 (20444523)
|
研究期間 (年度) |
2008-04-01 – 2013-03-31
|
キーワード | 生殖細胞 / 遺伝子組換え動物 / 不妊 / 分子シャペロン / 受精 |
研究概要 |
本研究課題では、生殖系列細胞の世代サイクルを分子生物学的に明らかにするために、受精過程や、生殖細胞の分化・成熟、相互認識に焦点を当て研究を遂行してきた。 これまでに作製された8種類の遺伝子(Clgn、Calr3、Pdilt、Tpst2、Ace、Adam1a、Adam2、Adam3)ノックアウト精子は、どれも輸卵管への移行能や透明帯への結合能を欠損しており、すべて、ADAM3分子の発現に異常を呈することが知られている。我々は、これらの表現型に関連する新規分子を探索するためにClgnとCalr3ノックアウトマウスそれぞれの精子で共通して消失するPMIS2を同定した。PMIS2は精巣特異的に発現しており、ノックアウトマウスを作製して解析した結果、Pmis2ノックアウトマウスも先述した分子群と同様の表現型が見られた。さらに詳しく調べてみると、Pmis2ノックアウト精子でも他の分子群と同様にADAM3が欠損していたが、Adam3ノックアウト精子でもPMIS2が欠損していることが分かった。これまでADAM3が、精子の輸卵管への移行能や透明帯への結合能に最重要分子と考えられてきたが、新たにPMIS2がこれらの表現型に重要な分子であることを示唆した。 また、受精に重要な分子を探索するために精巣特異的に発現する膜上分子をターゲットとして、TEX101に着目ノックアウトマウスを作製したところ、先述した分子群と同様に精子の輸卵管への移行能や透明帯への結合能が欠損しており、TEX101ノックアウト精子では精巣上体内でのADAM3分子が消失していくことが分かった。さらに、ADAM3の細胞内局在に異常が見られるACEノックアウト精子を用いて解析を行ったところ、TEX101は野生型の成熟精子上には存在していないが、ACEノックアウトの成熟精子上に存在することが分かった。すなわち、TEX101は精子の成熟過程でACEの基質としてADAM3を保護する働きがあることが示唆された。 ノックアウトマウスの解析以外にも、より深い受精の理解のために精子と卵子の融合の瞬間をタイムラプスで捉えるイメージングシステムを構築した。
|