研究概要 |
交付申請書の実施計画にそって最終年度の研究を行い、以下の成果を得た。(1)DNAメチル化酵素制御因子Dnmt3Lと相互作用する機能未知Ca依存性プロテアーゼ様タンパク質の機能を解析した。自己消化アッセイではプロテアーゼ活性は検出限界以下だった。同遺伝子周辺の特殊な構造により、ターゲティングベクターによるノックアウトマウスが得られなかったため、化学変異原誘発突然変異ライブラリーの利用を進めている(分担者の秦が担当)。(2)雄性生殖細胞でpiRNAの生合成に関わるMitoPLDのノックアウト卵子を用いて、同因子が卵子では特定のレトロトランスポゾン由来のpiRNAの合成だけに関与すること、及びインプリンティングに関わらないことを見つけた。また、パキテン期精母細胞で外来DNAからpiRNAを合成することに成功し、これが遺伝子サイレンシングのツールとして利用可能であることを報告した(Genome Res,2013)。(3)アイコンプローブ(5-メチルシトシンに高い親和性を示す)による蛍光in situハイブリダイゼーションとオスミウムによる固定化で、サテライト配列のメチル化状態を単一細胞レベルで可視化し、これまで非メチル化であると考えられていた雄性生殖細胞のサテライト配列が実はヒドロキシメチル化されていることを論文にまとめて投稿した。シングルコピー配列の検出には至らず、さらなるブレイクスルーが必要である。(4)各種DNAメチル化酵素Dnmtのノックアウト卵子を用いて、我々が発見した卵子の非CpGメチル化はDnmt3aとDnmt3Lの複合体により触媒されることを見出した。また、DNA複製時にメチル化パターンをコピーする維持メチル化酵素Dnmt1が、DNA複製を終えた卵子でヘミメチル化CpGをメチル化することで、de novoメチル化の補助を行なっていることを見つけた。以上の結果を取りまとめて報告した(PLoSGenet.印刷中)。
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