研究概要 |
研究代表者は、これまでマウス生殖細胞(発生初期に形成され精子及び卵子の起源となる始原生殖細胞Primordial Germ Cells:PGCs)の形成に関わる分子群を世界に先駆けて同定し、その機能の詳細な解析を進めてきた。本特定領域研究では、これまでの研究をさらに発展させ、遺伝情報継承に必須な生殖細胞系列が成立・分化する分子機構をより完全に理解し、それを試験管内で正確に再現、再生・生殖医学の基盤とすることを目的とする。 平成21年度の研究において、胚体外胚葉からBmp4,LIF,SCF,Bmp8b,EGF存在下で高い効率及び再現性でPGC様細胞が誘導出来ることが示し、誘導されたPGC様細胞はPGCに特徴的な遺伝子発現及びエピゲノムリプログラミングを示し、重要なことに、生殖細胞欠損新生仔の精巣に移植することで、機能的な精子形成を行うことを示した(Ohinata et a1., Cell 137,571-584,2009)。さらに、Blimp1の発現制御下にmVenus、形成されたPGCsのマーカーとなるstella遺伝子の発現制御下にECFPを発現するBacterial artificial chromosomeを有するES細胞[Blimpl-mVenus:stella-ECFP(BVSC)ES細胞]を用いて、胚体外胚葉様細胞を誘導する系の開発を行った。 また本研究の過程で、Prdm14が内部細胞塊(Inner cell mass:ICM)細胞よりES細胞を樹立するに際して重要な役割を果たすことを示すデータを得た。現在この過程におけるPrdm14の機能を詳細に解析中である。
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