研究領域 | 生殖系列の世代サイクルとエピゲノムネットワーク |
研究課題/領域番号 |
20062011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
斎藤 通紀 京都大学, 医学研究科, 教授 (80373306)
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キーワード | 発生・分化 / 遺伝子 / ゲノム / シグナル伝達 / 再生医学 |
研究概要 |
1)Prdm14のES細胞の多能性維持における役割解明 平成23年度までの研究で、Prdm14が血清存在下では胚盤胞からのES細胞樹立に必須であること、2i+LIF条件下ではPrdm14-/-ES細胞を樹立しうること、2i+LIF条件下におけるPrdm14-/-ES細胞は多能性を示すこと、FGFRシグナルが過剰に活性化しうること、Tcl1の発現が低下し増殖能が低いこと、新規DNAメチル化酵素であるDNMT3A,DNMT3B,DNMT3Lの発現がいずれも脱抑制され、Tcl1を含む多くの遺伝子のメチル化が更新し、胚体外胚葉に近いゲノムワイドなDNAメチル化を示すこと、PRDM14のES細胞のepigenetic metastabilityにおける役割、PRDM14はPRC2と複合体を形成し遺伝子発現の抑制を行うこど、さらにゲノムワイドなPRDM14の結合部位、が明らかとなった。 2)生殖細胞形成能獲得におけるWnt3及びBmp4シグナルの作用機序解明 平成23年度までの研究で、我々が開発したES細胞よりPGC様細胞を誘導する系を用いて、Wnt3-/-ES細胞はBMP4への反応性を保持していること、Wnt3-/-ES細胞はWnt3及びBMP4の刺激にてBlimp1及びPrdm14の発現誘導を起こすこと、Wnt3はbeta-Cateninを介してそのシグナルを伝達すること、Blimp1とPrdm14は異なる分子機構により活性化される可能性があること、などが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Prdm14のES細胞における機能及び作用発現機序が明らかとなり、現在論文発表に向けて準備中である。 BMP4シグナルとWNTシグナルが、Blimp1及びPrdm14の発現を誘導する機序が明らかになりつつあり、その解明に向けて研究を推進中である。
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今後の研究の推進方策 |
1)Prdm14のES細胞の多能性維持における役割解明に関しては、本年度の研究では、これまでの成果を論文として発表することと、PRDM14の生殖細胞形成過程における詳細な機能解析を行うことを目的とし、DNMT3A,DNMT3B,DNMT3Lを過剰発現させたES細胞の表現型解析、Prdm14-/-ES細胞から試験管内で始原生殖細胞様細胞を誘導したときに見られる異常の解析、PRDM14のiPS細胞誘導における役割解析を行う。 2)生殖細胞形成能獲得におけるWnt3及びBmp4シグナルの作用機序解明に関しては、本年度の研究では、これまでの成果を論文として発表することを目的とし、WNT3とBMP4がBlimp1とPrdm14を活性化する詳細なメカニズムを試験管内培養系、in vivoの遺伝学的実験、ChIP-seq実験等を総合的に行って解明する。
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