研究領域 | ユーラシア地域大国の比較研究 |
研究課題/領域番号 |
20101003
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
唐 亮 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10257743)
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研究分担者 |
松里 公孝 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (20240640)
高原 明生 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (80240993)
澤江 史子 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 准教授 (70436666)
三宅 康之 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (50363908)
大串 敦 早稲田大学, 政治経済学術院, 助教 (20431348)
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キーワード | 統治モデル / 国家統合 / 地方分権 / 政治改革 / 分配政治 / 政治体制 / 利益誘導 / 分配政治 |
研究概要 |
平成22年度は計3回の研究会、2回の国際セミナー、経済班との合同研究会を開催し、多くの分担者は相互乗り入れの形でロシア、中国、インドとトルコで現地調査を実施した。共同研究の作業は、各地域大国の統治モデルが政治的求心力、ガバナンス能力、社会的安定性および国家近代化のプロセスに与える影響を検討し、最終成果の出版に向けて計画をまとめた。実証分析では、「国家統合のモデル」に関する比較分析を行った。インドは終始連邦制を採用しているが、ロシアは民主化の初期において地方分権を拡大したが、近年中央の求心力を重視し、再び中央集権化の方向へと動いた。中国は改革初期において地方の活性化を重視し、財政、経済分野を中心に地方分権を進めたが、政治の面で人事権、政策の決定権と情報・思想の統制を担保に中央集権体制を温存している。「価値の変容と体制移行」に関する比較研究は主として中国とロシアの政治改革を中心に行った。ロシアは急進的な民主化に踏み切ったが、エリートと国民の意識、制度の変革とガバナンス能力は新しい政治体制に適応しなかったために、長期にわたって混乱を経験した。近年、安定志向が強まり、権威主義的な政治運営が目立っている。中国は旧ソ連の崩壊、ロシアの混乱を反面教師として、政治安定、経済発展を強調している。中国の政治改革は主としてガバナンスの向上、民主的な手法の部分的な取り入れであり、民主化を先送りしようとしている。「政治エリートの特質」は主としてデータベースのサンプル数を増やし、選挙制と任命制がエリートの育成、政策指向とガバナンスの能力にいかなる影響を与えるかについて初歩的な分析を開始した。「社会的亀裂と分配政治」は、競争的な選挙制度の有無との関連性を調べた。競争選挙が行われる国では、利益誘導の傾向が強い。権威主義国家では、抗議活動、社会問題は政治的圧力となり、政府の分配政策に影響を与えている。
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