研究概要 |
以下の様に、いくつかの物質系でフェルミ面や量子臨界点近傍に関する新たな知見を得た。その他4f電子間の距離が著しく長いNpCd_<11>及びRCd_<11>(R : La, Pr, Nd, Sm)の純良単結晶が育成され、電子状態の研究がスタートした。 ・4f電子の価数が降温とともに変わることで知られる価数揺動物質YbCu_2Si_2と2価のYbCu_2Ge_2の純良単結晶を育成し、ドハース・ファンアルフェン(dHvA)効果の実験からフェルミ面の性質を詳細に決定し、両物質の違いも明らかにされた。YbCu_2Si_2では30〜40m_0のサイクロトロン質量を持つ重い伝導電子が検出された。その結果はLDA+Uに基づくエネルギーバンド計算の結果と対比され、YbCu_2Si_2における4f電子の電子相関の重要性が明らかにされた。(大貫、播磨) CeRu_2(Si_xCe_<1-x>)_2はf電子が局在する強磁性体からSi濃度の増加とともに反強磁性-常磁性の重い電子系へと変化するが、c面内に磁場を加え、dHvA効果の測定から有効質量とフェルミ面の変化を調べた。dHvA信号は強磁性-反強磁性相境界で大きく変化する。一方、量子臨界点近傍では、有効質量が増強されるが周波数に不連続的な変化が見られない。(青木) ・新奇超伝導体NpPd_5Al_2の超伝導特性を詳細に調べるために、超ウラン化合物用比熱測定装置を開発し、予備的な実験を行った。上部臨界磁場における電子比熱係数の極めて大きなとびを観測し、この系の異常な超伝導・常伝導特性を明らかにした。また、ウランカルコゲナイド半導体β-US_2で、5f電子系としては非常に珍しい局在的磁性を観測した。(芳賀、大貫)
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