研究概要 |
1)カゴ状化合物としてRCd_<11>(R:La,Ce,Pr)やYbT_2Zn_<20>(T:Co,Rh,Ir)とUT_2Zn_<20>の単結晶を育成し、研究を行った。特に、YbCo_2Zn_<20>が量子臨界点近傍の電子状態を持つことを抵抗・磁化率・dHvA効果によって明らかにした。 2)結晶反転対称性のないCeIrSi_3の圧力下超伝導の性質を電気抵抗や比熱の磁場変化などを通じて調べた。 3)Yb化合物の物質開発に取り組み、YbPd_5Al_2(磁気秩序のない常磁性)、YbPdGe(強磁性)、パウリ常磁性体YbCoIn_5とYbIrIn_5などの単結晶を育成し、研究を推進させた。 4)CeRu_2(Si_<1-x>Ge_x)_2およびCe_xLa_<1-x>Ru_2Si_2の輸送現象測定により、磁気秩序状態で磁気揺らぎに加えて、電荷揺らぎによるものと思われる異常が輸送現象、dHvA効果の信号強度に見出された。また、この系のGeまたはCe濃度、温度、磁場の関数として磁気相図を詳細に明らかにし、この系では量子3重臨界点が存在しないこと、また、この系ではメタ磁性量子臨界点は濃度変化だけでは到達できないことを明らかにした。 5)URu_2Si_2の隠れた秩序に関して、高純度単結晶の育成とこれを用いた物性測定が進展した。新学術領域の他班と共同で超高分解能光電子分光や精密磁気トルク測定を行い、転移温度以下での物性の変化を見いだし、隠れた秩序変数の解明へと進展した。 6)超ウラン研究では、NpCd_<11>の純良単結晶育成に成功するとともに、その物性が結晶場分裂と一重項基底状態の形成によって理解できる事を示し、局在的5f電子の特徴を明らかにした。
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