研究概要 |
1.高畠:Ceを内包する反強磁性近藤半導体CeT_2Al_<10>(T=Os)の相転移温度と近藤温度は圧力に対して異なる応答をすること,T=Ru,Os両系のa-c面内ではc-f混成が強いが,b軸方向ではCDW不安定性を有することを見出した。「ラットリング機構の解明」班との共同で,I型クラスレートBa_8Ga_<16>Sn_<30>の格子系のソフト化と超音波分散が,電荷キャリアのタイプに依らずに起こることを見出した。 2.菅原: RT_2Al_<10>(R=Ce,La,Pr)の純良単結晶を育成し,ホール効果の測定から,CeRu_2Al_<10>のキャリア密度が相転移温度以下でLaRu_2Al_<10>と比べ30分の1に減少していることを明らかにした。転移温度の高い新しい強磁性近藤物質CeRu_2Al_2B等を発見した 3.関根:新しい充填スクッテルダイト化合物GdFe_4As_<12>を超高圧合成した。結晶構造解析の結果,室温での熱振動パラメーターが1.38A^2と非常に大きいので,顕著なラットリング効果が期待できる。 4.武田:Al_3Ni_<20>B_6はパウリ常磁性体であることを確認したが,Mn内包プニクタイドの物性は試料依存性が非常に大きいために,物性評価に至っていない。LaT_4P_<12>の超伝導臨界磁場がCe置換で系統的に上昇することを見つけた。新カゴ状物質R_2Co_6Zn_<18>とSmRu_2Zn_<20>の単結晶化に成功し,後者ではΓ_8基底の強磁性を発見した。 5.伊賀:超高圧焼成によりSmB_<12>の単相化に成功し,磁化率測定から9Kと19Kでの相転移を観測した。転移温度は14Tまで磁場に依存しないので,相転移は多極子秩序の可能性が高い。NdB_<12>の磁化測定から新奇な相転移を示唆する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新奇なラットリング物質を多数見出し,単結晶化に成功し,それらを他の班に供給することで共同研究が進み,ラットリング機構,フェルミオロジー,秩序相についての新しい知見が得られたため。
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