調和近似を超えて大きく揺らぐ電場を発生する非調和ポテンシャル中の巨大振幅原子振動「ラットリング」によって出現する新しい電子相とラットリングが電子物性へ及ぼす効果について、複数の測定手段による横断的なスペクトロスコピー実験の連携から統一的理解を与える。特に(1)ラットリングのエネルギー階層構造(2)重い電子状態形成への効果(3)超伝導対形成機構との関連(4)金属-絶縁体転移などの新奇現象を解明する。加えて、室温以上の非調和フォノンの散乱による熱伝導率低下の機構を明らかにし、熱電素子など機能性物質の設計指針を得る。
|