計画研究
非調和フォノンと結合する電子系の電子比熱係数を数値繰り込み群によって解析し、ラットリングによる重い電子状態では近藤温度に逆同位体効果が出現することを示した(堀田)。金属中で振動する磁性イオンに対する拡張アンダーソン模型を導出し、s波近藤効果、p波近藤効果、Yu-Anderson型強結合系の近藤効果の関連を明らかにした(上田)。SmOs_4Sb_<12>におけるSmイオンの価数の顕著な温度依存性は、多準位近藤効果による電子とイオン振動の相互作用の低温での増大の効果として定性的に理解できることを示した(三宅)。トポロジカル秩序の新たな特徴付けとして、エンタングルメントスペクトルの縮退が利用できることを1次元系の場合に示した(押川)。変分モンテカルロ法を用いてf電子の遍歴・局在転移とフェルミ面の変化を調べ、フェルミ面トポロジーの変化と遍歴・局在転移を伴う1次の反強磁性転移が存在することを見出した(小形)。周期的アンダーソン模型において伝導電子間の相互作用が磁気秩序に与える影響を明らかにし、磁気転移点近傍にf電子と伝導電子の協力によるモット絶縁的な振舞いが現れることを見出した(川上)。充填スクッテルダイト化合物SmRu_4P_<12>の奇妙な相図を擬6重項モデルで説明した。また、近藤効果と結晶場効果の競合による新しい電子秩序を提案した(倉本)。2体の揺らぎをパウリ原理を満たしながら自己無撞着に求める新しい理論形式を提案し、量子臨界現象に適用できることを示した(楠瀬)。鉄砒素系に対する5軌道ハバード・ホルスタイン模型を解析し、軌道揺らぎによって超伝導ギャップに符号反転が存在しないs++波状態が出現することを見出した(紺谷)。軌道自由度をもつ2次元量子多体系を密度行列繰り込み群法によって解析し、スカーミオンと呼ばれる内部自由度を空間的に連続的に変化させる励起の存在を明らかにした(柴田)。
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