研究領域 | 重い電子系の形成と秩序化 |
研究課題/領域番号 |
20102008
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
堀田 貴嗣 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (00262163)
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研究分担者 |
柴田 尚和 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40302385)
押川 正毅 東京大学, 物性研究所, 教授 (50262043)
楠瀬 博明 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (00292201)
倉本 義夫 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70111250)
上田 和夫 東京大学, 物性研究所, 教授 (70114395)
紺谷 浩 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90272533)
川上 則雄 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10169683)
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キーワード | 重い電子系 / 磁性 / 超伝導 / 遍歴 / 局在 / 近藤効果 / ラットリング / 軌道自由度 |
研究概要 |
非調和ホルスタイン模型において、非調和性の増大によって系が弱結合から強結合状態に移り変わり、質量増強因子の増加とともに超伝導転移温度が上昇することを見出した(堀田)。近藤格子模型の素励起として電荷とスピンの自由度が結合した新しいタイプの励起が存在すること、特に分数電荷励起が存在することを明らかにした(柴田)。1次元量子スピン鎖におけるトポロジカル相であるHaldane相は、反転対称性が存在すればドープしても保護されるが、他の対称性のみの存在下ではドーピングによってトポロジカル相としての特質を失うことを示した(押川)。URu2Si2の隠れた秩序に関して、反強16極子秩序による主要な実験事実の解釈に成功し、秩序変数を同定するための新実験を提案した(楠瀬)。鉄系超伝導体において「軌道間ネスティング」と「四重極相互作用」により反強的軌道揺らぎが発生することを見出した(紺谷)。重い電子系の強磁性金属相に関連して近藤格子模型を調べた結果、金属であるにも関わらずマイノリティスピンに近藤効果によるギャップが開くことが 分かった(川上)。2チャンネル近藤格子を研究し、奇振動数秩序に対応する秩序状態を発見した。これは物理的には遍歴八極子の秩序と解釈される(倉本)。金属中で振動する磁性イオンの近藤効果について、基底状態は全パリティの偶奇により二つの相をとり、それらの相境界で2チャンネル近藤効果が起こることを示した(上田)。Ca2-xSrxRuO4の大きな有効質量の起源を理解するため、Ca置換による格子ひずみの影響を取り入れた3軌道ハバード模型をグッツヴィラー近似によって調べた(小形)。CeCu2Si2など臨界価数ゆらぎにより誘起される異方的超伝導状態は大きな残留抵抗をもつにも関わらず安定に存在することを理解するには、不純物ポテンシャルが長距離となることを考慮する必要があることを示した(三宅)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画にあった重い電子の形成機構、重い電子系のエキゾチック磁性、重い電子系の超伝導、量子多体系の新しい計算手法について、一定の進展があった。また、計画班と公募班の研究の連携を促進するために、理論ワークショップを新潟大学で開催し、これまでの研究成果や今後の研究課題について討論した。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画の研究を予定通りすすめるが、重い電子の形成機構、重い電子系のエキゾチック磁性、重い電子系の超伝導、量子多体系の新しい計算手法に加えて、複雑な系の秩序、重い電子系の量子輸送現象の研究を推進する。また、理論系の公募班だけでなく、実験系の計画班、公募班との積極的な連携につとめる。
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