計画研究
H23年度はH22年度末の地震被害によりJ-PARCの復旧に時間を費やし、J-PARCでの中性子実験は行うことができなかったが、当初の予定通りのスケジュールで中性子カメラの導入に向けて作業を行った。中性子カメラの予備実験は北海道大学のパルス中性子施設を使用させていただき、カメラの検討を行った。その結果、H23年度末に中性子カメラを導入することができた。さらに、導入する高圧発生装置を利用した中性子高温高圧実験に向けた高圧セル開発、特に6-6加圧方式の各種実験を昨年度に引き続き行った。特にアンビル材に関してもNiバインダーの新しいWCアンビルの利用に向けて検討、さらにはSiCバインダーの焼結ダイヤモンドを使用したテスト実験を行った。加えて、各分担者の役割分担の基、マグマ・非晶質物質の「構造」、及び「物性(密度、粘性等)」に関する研究を、急冷回収実験や放射光X線その場観察実験により行った。特にX線散乱による非晶質物質の構造研究は、中性子散乱とは相補的なものであり、ガラスやマグマさらには含水マグマにおいて、高圧下で実験を行った。また、ガラスやマグマの物性の中でも密度は重要なパラメータであり、X線吸収法やX線トモグラフィー法により高圧下での密度変化を明らかにした。さらに高圧下での粘性変化も重要な物性量であり、これらの関する研究も行った。これらの研究から得られた成果は投稿論文として、また中性子ビームラインの立ち上げに関する事項は投稿論文とまではまだいかないが、各種学会で発表し、本プロジェクトの進行状況や成果を広く紹介した。13の研究発表欄を見ていただければその事を理解していただけると思う。
2: おおむね順調に進展している
H22年度末の地震により、我々の新学術研究領域で建設を進めているJ-PARCの高温高圧中性子ビームライン"PLANET(BL11)"も多大な被害を受け、復旧までには時間を要したが、その中でも、当初の予定通り、中性子カメラの導入、及び今後の中性子実験に向けての高圧実験技術開発、さらにはサイエンスターゲットとしての各種相補的実験を、急冷回収実験や放射光X線その場観察実験により遂行することができた。その意味で、まだ我々ビームラインでの中性子実験とまでは行かないが、順調に進展している。
H23年度は、待望の中性子散乱及びイメージング実験が我々ビームラインで行える予定である。それに向けて、導入装置の立ち上げ・コミッショニングや精度チェック、さらにはデータ解析システムの構築等が必要となる。まだまだ成すべき事柄は多々あるが、できるだけ早い時期での中性子データ収集に向けて尽力する。この中で、各研究分担者の役割に関しては今まで通りその分担領域の研究を遂行していくとともに、さらに各役割分担の垣根を越えた相互協力もますます必要になると思われる。
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すべて 雑誌論文 (17件) (うち査読あり 15件) 学会発表 (42件) 備考 (2件)
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