原始地球の形成過程においては、地球の表面が高温の溶融状態(マグマオーシャン)になり大量の水(水素)を貯蔵し水圏の形成に大きな役割を果たした可能性がある。現在の地球においては、水素は水(H2O)や含水鉱物(OH基)などの化合物、あるいは無水鉱物やマグマに侵入した不純物として存在する。水(水素)の存在は鉱物やマグマの構造や融点・粘性・反応性などの物性に大きな影響を与えるので、そのメカニズムの原子レベルでの理解は地球形成史、地球深部ダイナミクスや火山噴火の解明に本質的な役割を果たす。本計画研究では、最先端の量子シミュレーションを駆使することにより、鉱物、マグマ、水の構造と物性に対する水素や水素結合の影響を明らかにすることを研究目的とする。また、中性子散乱実験用多結晶ナノダイヤモンドの材料特性を研究する。
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