1. 準熱平衡電子系の物質相解明 (1-1)亜酸化銅1sパラ励起子サブケルビン領域のサーベイ ヘリウム3冷凍機を用いて、亜酸化銅結晶を0.3Kまで冷却し、希薄極限領域においてパラ励起子が歪誘起トラップ中において0.7K程まで冷却されていることを確認した。その上で、BECの臨界粒子数を超えるパラ励起子をトラップ中に生成し、時間積算空間分解スペクトル測定を行った。その結果、量子相転移の兆候を示す異常な信号をとらえた。また、中赤外波長計を導入し、波長可変単一モード量子カスケードレーザーとの組み合わせによる中赤外高感度励起子計測法の構築を開始した。 (1-2)CuCl上枝ポラリトン、ダイヤモンド 第一塩化銅において、パルス2光子位相空間圧縮法により過冷却状態の上枝ポラリトン生成を確認し、極低温高密度状態に到達する方法の検討を進めた。また、ダイヤモンドにおいて、2光子励起法による低温の電子正孔系励起法を改善し、中間的な強度領域において特異的な相を見出した。発光測定により観測したこれらの系をより定量的に評価するため、光パラメトリック増幅器を導入し中赤外分光の準備を開始した。一方、京都大学においても極低温分光実験を行うための実験装置の準備を行った。すなわち、試料を冷却する冷凍機を新規購入し光学測定系を整備した。また、レーザーと発光信号の時間的相関を調べるためにデジタル遅延回路を導入し動作を確認した。 2. 量子縮退した電子正孔系の集団励起とそのコヒーレンスの観測 亜酸化銅におけるパラ励起子の非弾性衝突散乱断面積の温度依存性を、CWレーザーによる高感度励起子ライマン分光法により測定し、低温領域において発散型の断面積を示すことを見出した。この微視的機構を明らかにするため、理論グループとの連携を開始した。また、フォトンカウンティングストリークカメラによる高次光子相関計測法の準備および理論的考察の準備を進めた。
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