量子情報技術は未来技術として期待が大きい。その実現のため約20年前報告者は巨大非線形光学を用いる方法を提案した[Phys. Rev. A32(1985)2287]が、これはテクノロジー的には尚早であった。そこでこの10年間は線形光学でできる範囲の量子情報処理を追求し「強い非線形光学効果を用いない量子情報処理の研究」(基盤(B)15340133)やCRESTチーム(2003-2008)の代表等を行った。しかしそれも限界が-主に演算の多段集積可能性において-明らかになって来た。本応募研究課題はその限界を打ち破るべく、量子情報研究と動的相関系の融合の機運を先取りするものである。 今期、上記PRA32のアイデアと共振系の融合をめざし、マイクロトロイダル共振器を用いた方法を提案した。これは低損失・高Q値・高光閉じこめ効果を特徴とするマイクロトロイダル共振器を用いて非線形光学効果の増強を図ると共に、本目的に有害なつGAWBS(guided acoustic wave Brilloiun scattering : 導波性ブリルアン散乱)を完全に抑制するというアイデアである。本成果は理論の論文として2008年12月出版された(下記研究成果Optics Express論文)。また光を用いる量子情報処理の研究として国際会議にて2件の招待講演を行った(下記学会発表2件)。
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