計画研究
[1]新しい量子計算手法の提案対称性の破れによる長距離秩序を有する物質を用いた新たな量子計算手法を提案し、多体協調効果によって量子計算の熱雑音に対する耐性が著しく向上されるという現象を発見した。量子情報処理に使われる量子状態は雑音に非常に弱く、雑音から保護する新たな方法を確立することが大きな課題となっていた。今回、強磁性的相転移を有する新たな量子スピン模型(相互作用クラスター模型)を発見し、相転移点以下の熱平衡状態における多体協調現象を利用した量子計算法を提案した。解析の結果、相転移点以下の対称性が破れた物質相における長距離相関によって量子計算の精度が著しく改善されることが理論的に示された。有限温度熱平衡状態を用いた量子計算において、物質系にける相転移現象や長距離秩序と量子計算の熱雑音に対する耐性との間に密接な関係が得られたのは世界で初めてであり、今後この機構を利用することによって量子情報処理の実現に大きく寄与することが期待される。関連するH24年度の出版はPRL110、PRA87、PRE86、PRA86、Nature Comm.3[2]量子情報を高忠実に保存する波長変換の実現量子コンピューターや長距離量子暗号等の量子情報処理において量子メモリーが不可欠だが、量子メモリーの読み書きには可視光が用いられるのに対し、量子光通信では赤外の通信波長帯が使われており、この波長の齟齬が大きな問題だった。これまでなかなか実現されなかった可視光から通信波長帯への広帯域かつ量子的波長変換を、本プロジェクトでPPLN(周期分極反転ニオブ酸リチウム)を用いることにより実現して来たが、H24年度はさらに超伝導光子検出素子を用いることにより、変換の忠実度を飛躍的に上げることができた。関連するH24年度の出版はPRA87(前項のPRA87とは別論文)
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (24件) (うち招待講演 4件)
Physical Review
巻: A87 ページ: 022321-1-8
10.1103/PhysRevA.87.022321
Phys. Rev. Lett.
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10.1103/PhysRevLett.110.120502
巻: A87 ページ: 010301-1-4
10.1103/PhysRevA.87.010301
Nature Communications
巻: 3 ページ: 1036
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巻: 14 ページ: 083021-1-11
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10.1038/srep00508
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巻: A 85 ページ: 062309-1-7
10.1103/PhysRevA.85.062309