計画研究
平成20年度は、1.5μm通信波長帯埋め込み型量子井戸レーザーでしきい値電流が室温で5mA、低温100Kで0.3mAという高品質なデバイスの利得特性・スペクトルの温度依存性を計測し、電子間相互作用の効果を取り入れた光学スペクトル計算と比較する研究を行った。利得ピークから化学ポテンシャルエネルギー近傍のスペクトル形状は実験理論で良い一致が得られたが、利得ピークから低エネルギー側のバンド端のテールの部分の形状は著しく差異があることが明らかになった。半導体レーザーにおける電子正孔系の光学応答を研究する上では、キャリア温度の評価が重要である。そこで、ケナード・ステファノフ関係式(KS関係式)という基礎関係式を用いることでその温度評価を行う研究を進めた。まず、KS関係式の成立条件が比較的達成されやすいと期待されるn型ドープ2次元量子井戸系において実験を行い、モデルに拠らずにキャリアの絶対温度がきちんと評価できることを確認した。一方で、高速非線形現象観測のための光源・測定系の整備を進めた。とくに、ワイドギャップ半導体材料の時間分解分光を行うための電気的同期が可能な紫外線領域のピコ秒パルス光源の開発を進めた。高速応答の1.55μm帯DFB-LDの利得スイッチング動作により、数psから数十psまで光パルスの時間幅を制御できることを確認した。その光パルスを増幅・波長変換し、最終的に繰り返し周波数10MHz、最大平均パワー12mW、最大ピークパワー200W、波長387nmの第4高調波光を得た。第4高調波光パルスも電気的同期が容易であることを利用して、ストリークカメラにより色素溶液の蛍光寿命を行った。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (12件)
Applied Physics Letters 94
ページ: 061104-1-3
Applied Physics Express 2
ページ: 032101-1-3