研究概要 |
HfO_2系ゲート絶縁膜を有する電界効果GaAs試料をatomic layer deposition (ALD)法による作製を開始した。 高品質の電界効果量子井戸試料を用いて、電子-電子間、電子-正孔間相関効果制御による分数電荷準粒子解明を開始した。σ+,σ-の円偏光の発光スペクトルをv<1の分数量子ホール領域特にv=1/3近傍の発光に注目して研究を実施した。v=1/3近傍ではキャリア相関に起因して発光ピークの分裂が観測される。5Tにおいて高エネルギー側のピークはσ^-、低エネルギー側はσ^+に偏極していることがわかった。σ^+に偏極した発光も単なる荷電励起子発光ではなく、二次元電子系の相関を反映し、分裂した二つの発光ピークの強度は、vに対して異なる振る舞いを示していることが明らかにされた。 格子状の表面ゲートを用いて量子井戸に人為的なポテンシャル変調を加え、裏面のゲートによって電子密度を変化させて、発光スペクトルの電子密度とポテンシャル依存性に関する研究を実施した。 通常、量子井戸に電子が誘起される場合の発光変化では、局在した残留電子を取り込んで形成される荷電励起子(X^-)が連続的に2DES-holeの発光へと変化する。このため、X-と2DES-holeとの発光の明確な境界は決定できない。500-nm周期で正方格子状に表面ゲートをつけた試料では、X-と2DES-holeの間にX-の減少に伴った中性励起子(X^0)の増大が観測され、X-発光と2DES-hole発光が明確に区別された。この2DES-holeへの発光の変化はキャパシタンスの変化から求めた閾値と一致することが明らかにされた。
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