研究概要 |
昨年度の成果を踏まえて,(1)動的相関半導体レーザー理論を半古典近似下で構築,(2)励起子ポラリトン凝縮における内部自由度(電子正孔相関)の解明,(3)バンド縮退半導体での電子正孔液滴の理論の再構築,(4)二準位原子集合系での超蛍光におけるコヒーレンス形成時間の評価に取り組んだ。 (1)上海応用物理研究所のHuai教授との共同研究を進め,クーロン相関を半導体マクスウェル・ブロッホ方程式法により取り入れた半導体レーザー理論を,半古典近似のもとで博士研究員とともにほぼ完成させた。A02班の秋山研究室(東京大学)および横山研究室(東北大学)での実験結果との比較を行い,理論の改良を進めた。(2)電子正孔系が共振器中の光子場と結合した励起子ポラリトン系で,高密度励起下での「光の量子凝縮」と呼ぶべき状況が生じることを発見し,その状態でのポラリトン内部自由度(電子正孔相関)の特徴を明らかにした。世界各地で,対応する実験が進められている。(3)バンド縮退度が大きな半導体では,励起状態で電子正孔液滴が生じる。半導体レーザーの反転分布状態の一つとして重要であるため,その形成過程と液滴サイズや粒子密度の動径分布関数を計算しうる理論を,経路積分法と電子ガス理論を援用して構築中である。(4)半導体レーザーの発振閾値以下での光コヒーレンス形成では,協同的自然放出過程が重要である。そこで,超蛍光と増幅自然放出との違いを明らかにするため,コヒーレンス形成時間を評価しうる理論計算を進めた。電場の空間伝搬高価および原子密度の空間不均一性を取り入れた。
|