研究領域 | 素核宇宙融合による計算科学に基づいた重層的物質構造の解明 |
研究課題/領域番号 |
20105004
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
鈴木 英之 東京理科大学, 理工学部, 教授 (90211987)
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研究分担者 |
柴田 大 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (80252576)
梅田 秀之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (60447357)
梶野 敏貴 国立天文台, 理論研究部, 准教授 (20169444)
住吉 光介 沼津工業高等専門学校, 教養科, 准教授 (30280720)
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キーワード | 超新星爆発 / ニュートリノ / 状態方程式 / ブラックホール / 中性子星 / 重力波 / 元素合成 / ニュートリノ振動 |
研究概要 |
22年度は5月と1月に研究集会を開催し、連携を促進しつつ研究を進めた。柴田を中心とした共同研究では、現実的状態方程式、ニュートリノ冷却過程を組み込んだ数値相対論コードを構築し、さらに並列化も行った。このコードを用いて、種族III星のブラックホールへの重力崩壊や連星中性子星の合体の数値シミュレーションを実行した。球対称モデルに関しては、住吉を中心に、ニュートリノ輻射流体コードを用いて大質量星の重力崩壊現象の系統的な計算を行った。ブラックホール形成に至るケースについて、ニュートリノ観測により状態方程式をプローブする方法を確立した。爆発するケースについては、梅田らによる大質量星モデルの重力崩壊で放出されるニュートリノシグナルの系統的な計算を中里らと行った。状態方程式について、Shen EOSのデータ拡張を行ったほか、鷹野らとクラスター変分法による高温高密度核物質の状態方程式作成に向けた研究を進めた。また鈴木は菊地と共同で、球対称流体計算コードに拡散近似のニュートリノ輸送を組み込み、コアの重力崩壊開始から衝撃波が外層を伝播していく0(100)秒の進化を計算することができるようになった。一方梅田らは、観測史上最も重い星の超新星爆発ではないかと言われている超新星2007biの親星がどのようなものであったのかについて議論を行った。その結果、この超新星は電子-陽電子対生成型超新星であると考えるよりも、重力崩壊型超新星である可能性のほうが高い事を示したが、まだ不確定な要素の多く、最も重い星の進化や質量放出に関して興味深い示唆を与えるものであった。梶野らは、二次元の特殊相対論効果を取り入れた流体コードを用いてガンマ線バースト天体の候補とされるニュートリノ加熱型コラプサーモデルを構築し、ユニバーサリティーを満たす重元素(R過程元素)が生成されることを明らかにした。さらに住吉を中心にA04班と連携して、球対称ニュートリノ輻射流体計算で出現する大規模行列の性質について調査を行い、反復法による解法開発に道筋をつけた。
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