1) 制御ラジカル重合官能基を有する高分子固体表面からの制御ラジカル重合 : エレクトロスプレーデポジション(ESD)後に表面の親水性・疎水性を表面開始グラフト重合により自在に制御できる高分子を分子設計し、合成を検討した。具体的にはメタクリル酸メチルとメタクリル酸2-トリメチルシリロキシエチルとの原子移動ラジカル重合(ATRP)によるランダム共重合を行い、適切な条件で加水分解することで側鎖にヒドロキシ基を8mol%有するポリマーを得た。これに2-プロモイソブチル酸プロミドを反応させ、ヒドロキシ基を臭化アルキルエステルに置換した。この臭化アルキル基はATRP開始能を持つ官能基であり、これを基点として新たなグラフトポリマーを生長させることが可能である。今後、ESD法によりこのランダム共重合体のナノファイバーを調製し、その繊維表面に適切なポリマーをグラフトすることで表面の親・疎水性の制御を試みる。 その予備実験として、ハロゲンを側鎖に有するポリ(フッ化ビニリデン-co-トリフルオロエチレン)共重合体薄膜への原子移動ラジカル重合による直接グラフトを検討した。X線光電子分光測定、赤外吸収分光測定、接触角測定により表面へのグラフト鎖の形成を確認した。 2) ナノファイバー調製 : H20年度導入した電界紡糸装置を用いて、種々の高分子溶液からのナノファイバーを調製し、その濃度、溶媒とナノファイバーの形状について検討した。セグメント化ポリウレタンウレアの10%程度の溶液からのナノファイバー形成を確認した。
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