デンドリマー及び糖デンドリマー単分子膜の創製と生体機能解析を行った。 (1) 糖鎖結合デンドリマーによるタンパク質の機能制御 6位硫酸化グルコサミンをヒドロキシ安息香酸に結合させた、糖鎖多価化合物(単価、二価、三価)を調製し、クリックケミストリーによって基板に結合させて、アルツハイマー病アミロイドβの相互作用の解析を行った。表面プラズモンでその相互作用を調べると、価数が高い糖の基板上で、アミロイドβに対して強い相互作用を示すことが分かった。また、糖鎖の価数が高くなるほどタンパク質がその上で球状の凝集体を形成する傾向にあることがわかった。このような糖鎖基板上で、細胞の培養を行うと、タンパク質凝集体ができる条件では、高い細胞毒性を発揮することがわかった。また、硫酸化糖のモデルとして、硫酸を結合させた時も同様にタンパク質の凝集系が制御できることがわかった。 (2) デンドリマー自己組織化膜の創製とタンパク質吸着性の制御 ポリアミドアミンデンドリマー自己組織化膜を形成させた金基板上で、タンパク質の吸着性を検討したところ、デンドリマーの世代数が高い程タンパク質の吸着性が減少することが分かった。一方で、デンドリマー自己組織化膜を形成させた基板上にマイクロ流路を作成して、タンパク質の分離を試みたところ、タンパク質の電荷によって、流速が異なることがわかった。 また、デンドリマー自己組織化膜を半球状にして基板に結合させると、カルボン酸末端を持つポリアミドアミンデンドリマーの場合に、超親水性を示すことが分かった。この超親水性は高密度に配置した親水性官能基とデンドリマー特有の3次元構造に基づくものと思われた。
|