計画研究
本研究は、2つの表面間の相互作用の距離依存性を直接評価できる表面力測定を中心手段とし、分子認識など、固-液界面における分子膜の特性を明らかにし、ソフト界面の分子科学に寄与することを目的とし、さらに、生体分子間の相互作用、医用材料表面の評価を可能とする方法論の開発を目指す。具体的には、遺伝情報転写に関わるタンパク質群、および糖などの生体機能分子を対象とし、様々な生体分子の配向制御した固定化法の開発、DNAの転写制御に関与するタンパク質群の相互作用の直接測定、また表面における水和構造の評価を行う。さらに、領域内の他の研究者の扱う高分子ブラシ層ならびに分子認識系の評価を行い、その特性を明らかにし、ソフト界面の分子科学の確立に資する。平成21年度は、ポリスチジンタグ(His-tag)とキレート単分子膜間の相互作用を利用してニワトリ卵白リゾチーム(HEL)と、その抗体であるHyHEL 10scFvを表面に配向固定化し、コロイドプローブAFM法によりこれらのタンパク質に働く特異的相互作用力の直接測定を行い、タンパク質の表面への固定化密度に依存して相互作用力が変化することを見いだし、これらのタンパク質の密度と特異的相互作用力の相関を検討する。また、枯草菌の胞子形成過程で機能するホスホリレーシグナル伝達系に関与するタンパク質問を表面に配向固定化し、相互作用力の直接測定を開始した。
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