計画研究
本年度は、ラジカル重合により調製したカルボキシベタイン型の単量体(CMB)とブチルメタクリレート(BMA)との共重合体(P(CMB-BMA))を、疎水化した半円筒型の溶融石英プリズム平坦面に浸漬法で薄膜として導入した。薄膜を被覆したプリズムを液体水に浸漬し、薄膜近傍の水に由来するSFGスペクトルを測定した。比較としてメタクリル酸とBMAの共重合体(P(MA-BMA)、ジメチルアミノエチルメタクリレートとBMAとの共重合体(P(DMAEMA-BMA))およびBMAのホモポリマー(PBMA)を被覆したプリズムについても同様の測定を行った。双性イオン型単量体とBMAとの共重合体は、負あるいは正電荷を有する薄膜やPBMA膜と比較して、O-H伸縮振動に由来するSFGのシグナル強度の大幅な低下が観測された。PBMA修飾の石英表面では疎水性水和した水が、また正電荷や負電荷を有する薄膜表面では静電水和した水が、いずれも配向しているものと考えられる。一方、双性イオン型高分子薄膜では、その何れよりも配向が抑えられた水が界面に存在することを示している。さらに、双性イオン基を末端に有するシランカップリング剤の自己組織化単分子膜(SAM)や、正または負電荷を末端に有するシランカップリング剤を混合し電荷中和させたSAMについても評価したところ、配向した水に由来するシグナル強度が未修飾の石英表面に比べて減少することが判明した。MAやDMAEMAを有する高分子ブラシ系では、静電水和により強く配向した水の層が存在することが見いだされている。これらのことは、双性イオン型高分子薄膜、双性イオン型SAM、さらに電荷中和した混合SAMで修飾された基板表面では、高分子と水との間の水素結合や静電相互作用、疎水性水和に由来する水分子の配向の程度が小さく、水の構造が大きくは乱されていないことを示している。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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