計画研究
バイオ・高分子ハイブリッド密生層の3次元ナノ界面を構築し、その界面における合成高分子と生体分子の形成する相乗場の科学と機能を追究するため、領域後半ではバイオ・高分子ハイブリッド密生層、特に抗体とPEGの共固定界面に関して、その界面上の構造と機能に関する基礎的研究をさらに継続した。具体的には次のような検討を行った。i)バイオ・高分子ハイブリッド密生層の構築と機能:特に抗体とPEGの共固定界面に関して、その界面上の構造と機能に関する基礎的研究を継続するとともに、実際の診断系への展開を中心に検討した。特に表面抗体がPEGブラシの密度に相関してその活性を向上させることを確認した。また、原子間力顕微鏡(AFM)および表面プラズモン共鳴装置(SPR)を利用し、抗体の表面における振る舞いを検討し、PEG化により抗体の失活が抑えられることを証明した。ii)PEG/オリゴ核酸界面密生層のクラウディング効果をふまえた構造と機能の追究:前年度まで、特に抗体に対する検討を中心に進めてきたので、後半ではオリゴ核酸を中心とした検討を開始した。本年度はアプタマーを利用し、特に鎖長や密度の最適化と機能に関しての検討を行った。特に密度を制御したPEG表面におけるアプタマーの最適化が達成され、最適な表面設計が可能となった。iii)PEGブラシ先端にベタイン構造を導入し、ブラシと両性イオンのメカニズムの違いを検討し、最適な表面構築技術をほぼ確立した。特にイオン強度に対するベタインの特異的を見いだし、新しい表面処理剤として提案を行った。
2: おおむね順調に進展している
当初計画したように、バイオ・高分子ハイブリッド密生層の構築と機能、PEG/オリゴ核酸界面密生層のクラウディング効果をふまえた構造と機能の追究、PEGブラシ先端にベタイン構造を導入しという当初目標をほぼ達成できている。
これまで、エントロピー、親水性、運動性等の物理化学的因子を最適化し、生体成分等の非特異吸着抑制効果を極限まで高めるだけでなく、抗体やオリゴ核酸、アプタマーなどとのハイブリッド化がその配向性を向上させ、認識能や安定性を向上させることを見いだしてきた。今後は生体と接触する界面に於いて、生体が発するシグナル、特に炎症性サイトカインや活性酸素に着目した生体と界面の接触に関して検討する。すなわちこれまで行ってきた高分子ブラシに加え、活性酸素種を消去することにより非特異吸着に与える影響や細胞の活性化凝集などを追究し、細胞に優しい界面を設計する。さらに抗体ハイブリッド表面を構築し、細胞分離用表面設計を行う。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 16件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
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