計画研究
黄色ブドウ球菌核酸分解酵素(SNase)を用いて、生理的条件下で変性構造を取るが、酵素活性を有する変異体を数種類創出した。これらの変異体は、基質や阻害剤存在下で天然構造に巻き戻る。この系は、天然変性タンパク質の誘導折り畳み機構を研究するよいモデル系と考えられる。誘導折り畳みには、折り畳みと標的結合二つの要素過程があり、その順番により(a)畳み→結合、(b)結合→折り畳みの2種類の機構が考えられる。熱力学的考察から誘導折り畳みは(a)の機構に従い、(b)はありえないとされていた。平衡論的測定からは、両者は識別できない。誘導折り畳みの速度論的測定の標的濃度依存性から、両者の機構は識別できることを明らかにし、得られたSNaseの変異体の阻害剤誘導折り畳み機構のストップトフローCDによる解析に適用した。Δ140-149では、バースト相が観測され、その強度は阻害剤濃度に依存した.一方、33A34では、阻害剤濃度にかかわらずバースト相は観測されない。また、33A3Aについて、標的濃度が薄いときは濃度が高くなると緩和時間は遅くなるが、ある濃度にすると一定になる。一方、140-149では、濃度が高くなると緩和時間も早くなる。この結果から、33A34は(a)の機構に従い、Δ140-149は(b)の機構に従うことを明らかにした。1種類のタンパク質で異なる誘導折り畳み機構を示す変異体を創出できたことは今後天然変性タンパク質の機能を理解する上で貢献すると期待される。中性子非弾性散乱により水和水は低温ではタンパク質を硬くし、室温ではやわらがくすることを明らかにした。
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