計画研究
本研究では、ジメチルスルフォキシド(DMSO)停止水素重水素(H/D)交換法と二次元NMRを利用して、さまざまなシャペロニン複合体中のGroESの水素交換反応を追跡し、その生物機能が構造揺らぎをどのように利用しているかを明らかにする。平成24年度は以下の研究を行った。昨年度までに帰属を終えた約70 個のアミド水素信号を対象に、DMSO停止H/D交換法を用いて、遊離15N標識GroES 7量体のH/D交換反応を追跡した。また、遅く交換するアミド水素は、既に、TROSY HSQCスペクトルを用いて解析を終えている。その結果、GroESの94個のペプチド・アミド水素中33個の交換反応を定量的に求め、それらの水素交換保護因子(Pf)を決定した。残りの61残基については、水素交換反応速度定数の下限が求められた。最も強く保護されているアミド水素のPf は10の6乗から7乗のオーダーであり、通常の球状蛋白質のPf と同程度であったが、Pf 10の6乗以上の非常に強く保護されたアミド水素の数はわずか10個で、通常の小さな球状蛋白質について知られている数よりも著しく少なかった。このことは、7量体GroES中のかなりの部分がフレキシブルで天然変性状態にあることを示している。Pf 10の5乗以上の強く保護されたアミノ酸残基は疎水性コアを形成する三本のβストランドに集中しており、残基17-34の可動性ループ領域はあまり保護されていなかった。ADP存在下でGroELの単一リング変異体SR1と結合した15N標識GroES部分のH/D交換反応を同様にDMSO停止H/D交換法を用いて追跡した。GroELとの結合部分にあたる可動性ループ領域が強く保護され、Pf が10の5乗から6乗のオーダーとなった。揺らぎの大きな可動性ループが、GroELとの結合によって構造形成し強く保護されることが明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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