研究領域 | 高次π空間の創発と機能開発 |
研究課題/領域番号 |
20108002
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
赤阪 健 筑波大学, 数理物質系, 教授 (60089810)
|
研究分担者 |
土屋 敬広 筑波大学, 数理物質系, 講師 (10375412)
山田 道夫 東京学芸大学, 教育学部, 助教 (00583098)
|
キーワード | 金属内包フラーレン / 化学修飾 / π電子 / π曲面 / π空間 |
研究概要 |
本研究では、湾曲した拡張π電子系を有するフラーレン内部の高次π空間に常磁性金属原子を取り込んだ金属内包フラーレンを鍵物質とし、その高効率で高選択的な化学修飾法の開発を行うと共に機能性金属内包フラーレンを合成する。得られた機能性金属内包フラーレンを超分子的に配列し、磁性-伝導ハイブリッド素子へと展開する。電子的、磁気的特性に優れた金属内包フラーレンを自在に配列し集積化することができれば、次世代のスピンナノデバイスへの応用の可能性が飛躍的に高まると考えられる。 前年度に引き続き、炭素ケージや内包原子にスピンを有する常磁性内包フラーレン(La@C_<82>、Ca_2@C_<80>、Ce@C_<82>、Sc_3N@C_<80>等)の大量合成と精製を行なった。合成した内包フラーレンを用いて化学反応性の解明を行うと共に化学修飾による誘導体の合成を行った。内包フラーレンに対し、アダマンチルカルベン、アゾメチンイリド、シクロペンタジエン等を用いた反応により、高効率および高選択的に化学修飾し常磁性内包フラーレン誘導体の合成を行った。また、一付加誘導体へのさらなる付加反応で、二付加誘導体の合成も行った。 合成した常磁性内包フラーレン誘導体を用い、集積化によるナノロッドおよび薄膜の作成を行った。この磁性内包フラーレン集積体について伝導性の評価を行ったところ、非常に高い電子移動度を示すことが明らかとなった。これはナノサイズの磁性材料としての有用性を示す結果である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでの研究で手法を開発した高効率・高選択的な化学修飾により、多種の磁性内包フラーレン誘導体の合成・単離精製に成功した。さらに、誘導体の集積体は高い電荷輸送特性を有することを見出した。これらの成果はクオリティーの高い学術雑誌に発表している。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、磁性内包フラーレンの化学修飾化を行い、得られた誘導体について電子的・磁気的特性を解明する。同時に誘導体の集積化を行い、集積体の磁気的性質や導電性を明らかにし、デバイス材料への応用を目指す。領域研究内の共同研究により、ポルフィリン等の平面π電子分子との相互作用を利用した集積化も検討する。
|