計画研究
H22年度に引き続き、独自の戦略で新しいポルフィリノイドを合成した。特に、大きな2光子吸収断面積を持つポルフィリンの開発とメビウス芳香族性ポルフィリノイドの研究に焦点を当てた。具体的には、1)直線型共役ポルフィリンテープに電子求引性基を導入したポルフィリン多量体を系統的に合成し、ドナーアクセプター構造と2光子吸収断面積の関係を明らかにした、2)芳香族性を持つ環拡張ポルフィリンは大きな2光子吸収断面積を示す。ポルフィリンとヘキサフィリンの縮環体で巨大な2光子吸収断面積を確認した、3)フラーレンを取り込む新しい曲面型ポルフィリン多量体の合成に成功した。4)ポルフィリン白金ピンサー錯体の反応性を検討し、ヨウ素で酸化することでフェニルエチニル基の炭素-炭素結合生成反応と連続した挿入反応によってイソポルフィリンができることを見出した。興味深いことに、これら一連の反応は白金の運元的脱離がピリジン環によって途中で止められたような構造から進行する。5)アントラセンとヘキサフィリンの縮環に成功した。1400mmを超える吸収を持つ。6)サブポルブイリンの化学の開拓も行った。メゾ位無置換型サブポルフィリンの合成に成功し、これから様々な誘導体を合成できた。6)「太陽光を効率的に捕集するポルフィリンチューブの構築とその集積化」と「チューブ状化合物とフラーレン類との超分子錯体形成」ためにポルフィリン化合物を結合して多量化する合理的な合成法の開発から電子物性の解明を行う目的で、チューブ状ポルフィリン4量体及び6量体の合成を精力的に行った。
1: 当初の計画以上に進展している
当初不可能と考えられていたヘキサフィリン多量体や縮環体などが次ぎ次ぎと合成できており、その興味深い構造をX線によって明らかすることができた。また、予想外の反応により、新たなポルフィリノイドの合成に繋がった。
新しいポルフィリノイドを合成から、その電子物性や光学物性の解明を行い、大きな2光子吸収断面積を持つポルフィリンの開発とメビウス芳香族性ポルフィリノイドの研究に焦点を当てる。また、集積化にも力を入れる。1)ポルフィリンバレルのような構造は、極めて興味深い。この化合物の展開として水素結合などの相互作用により超分子化させ、ディスクリートな構造をもったポルフィリンチューブの合成を行う。2)捻れたメビウストポロジー上に共役したメビウス芳香族ポルフィリノイドの化学の基礎を確立し、芳香族-反芳香族物性の変換により、柔軟なコンフォメーションをもつ環拡張ポルフィリンのプロトン化や集積化によるトポロジー制御などを検討する。
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すべて 雑誌論文 (27件) (うち査読あり 27件) 学会発表 (10件)
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