研究概要 |
本研究では、当該新学術領域研究の領域内で合成された新規なπ共役系物質や新しい解析手法を有機デバイスへと適用し、高性能な有機デバイスを実現することを目的とする。 平成21年度に得られた主な研究成果は,以下の4点である。(1)有機薄膜太陽電池の開放電圧制御(2)界面制御による有機EL素子の高効率化のメカニズム(3)エレクトロスピニング法による高分子ナノファイバーの作製と評価(4)光誘起電荷分離物質を用いた光誘起誘電率変化の発現。具体的には,有機薄膜太陽電池の開放電圧制御に関して,レジオレギュラリティの高いPoly(3-hexyl thiophene)(P3HT)とランダムなP3HTを混合して調整したドナー材料に対して,アクセプター材料(PCBM)を添加したバルクヘテロ型太陽電池では,ランダムP3HTの添加によって開放電圧が増加する事を見出した。有機EL素子のITOと有機層との界面に酸化モリブデン(Mo03)の超薄膜を挿入する事によって,Mo03と有機層で電荷分離状態が生じ電荷の発生源として機能する事を明らかにした。エレクトロスピニング法によって作製した共役系高分子を延伸配向する事によって,高度な分子配向性が実現されており,延伸によって導電率が2桁以上向上する事を見出した。また,安定な電荷分離状態を形成するクマリン誘導体をPMMAマトリックス中に分散した薄膜に光照射を行う事で,誘電率が2倍に向上するという新しい現象を見出した。
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