研究概要 |
本研究では、当該新学術領域研究の領域内で合成された新規なπ共役系物質や新しい解析手法を有機デバイスへと展開し、高性能な有機デバイスを実現することを目的とする。 平成22年度までに得られた主な研究成果は,以下の3点である。 (1)有機薄膜太陽電池の安定性向上と開放電圧制御(2)エレクトロスピニング法による高分子ナノファイバーの作製と評価(3)光誘起電荷分離物質を用いた光誘起誘電率変化の発現。具体的には,(1)の有機薄膜太陽電池に関して,自己組織化単分子膜(SAMS)で表面処理を行ったITO基板を用いたバルクヘテロ型太陽電池ではSAMsの挿入によって素子の安定性が向上することを見出した。また、レジオレギュラリティの高いPoly(3-hexyl thiophene)(P3HT)とランダムなP3HTを混合したドナー材料に対して,アクセプター材料(PCBM)を添加したバルクヘテロ型太陽電池では,ランダムP3HTの添加によって開放電圧が増加する事を見出した。(2)に関しては、エレクトロスピニング法によって作製した共役系高分子を延伸配向する事によって,高度に配向した分子鎖が実現され導電率が2桁以上向上する事を見出した。また(3)に関しては、安定な電荷分離状態を形成するクマリン誘導体をPMMAマトリックス中に分散した薄膜に光照射を行う事で,誘電率が2倍に向上するという新しい現象を見出した。この様に、当初計画した研究(1)の着実な進展に加え領域内の連携によって新たな研究成果(2)、(3)が得られるなど当初の計画以上の進展が得られた。
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