研究領域 | 高次π空間の創発と機能開発 |
研究課題/領域番号 |
20108012
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
村田 英幸 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (10345663)
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キーワード | 有機薄膜太陽電池 / 有機EL素子 / エレクトロスピンニング / トランジスタ型不揮発性メモリ |
研究概要 |
本研究では、当該新学術領域研究の領域内で合成された新規なπ共役系物質や新しい解析手法を有機デバイスへと展開し、高性能な有機デバイスを実現することを目的とする。平成23年度に得られた主な研究成果は,以下の3点である。 1.ナノポーラス構造を電荷分離界面に有する有機太陽電池の実現 2.高分子ナノファイバーを発光層に有する発光素子 3.光誘起電荷分離物質を用いた新規な光トランジスタ型メモリーの開発。 1.有機薄膜太陽電池に関しては、ポリスチレン(PS)とP3HTの相分離現象を利用してP3HT層にナノポーラス構造を形成させた後にPCBM層をスピンコートして作製した2層型太陽電池において、高い変換効率を再現性良く得られることが分かった。ナノポーラス構造のポアサイズはPSとP3HTの混合比を変えることで任意に制御可能であり、ポア径200nmのナノポーラス構造を有する太陽電池では、最大変換効率3.25%を示し、P3HT:PCBM混合バルクヘテロ活性層を有する太陽電池の変換効率(2.44%)を超える良好な特性が得られた。2.については、電界紡糸法で形成した共役系高分子ナノファイバーを用いた有機EL素子を初めて実現した。3.に関しては、安定な電荷分離状態を形成するクマリン誘導体をPMMAマトリックス中に分散した薄膜をゲート絶縁膜に用いて、新規なトランジスタ型不揮発性有機メモリーを作製した。これまで報告されている他の有機メモリーに比べて、10V以下の低い動作電圧と優れた保持特性を両立させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画した有機薄膜太陽電池の研究における着実な進展に加えて、領域内の連携によって新たな研究成果2.および3.が得られるなど当初の計画以上の進展が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
新学術研究領域内の共同研究を通じた連携をさらに強化することで、当初の研究計画以外の部分で新たな研究成果をより多く得られるように努める。
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