研究概要 |
本研究の目的は、ポルフィリン誘導体およびフラーレン誘導体の示す高次π空間構造を有機デバイスへと実際に導入し、高性能な有機デバイスを実現することにある。具体的には,膜厚100nmの薄膜中でp型材料とn型材料が基板に対して垂直方向に段階的に相分離した濃度傾斜構造を形成する。得られた相分離構造を有機薄膜太陽電池の電荷分離層として導入し素子特性に及ぼす影響を評価する。本研究の研究過程は大きく3つのステージに分けられる。 第一に、有機電子デバイスで標準的に用いられている透明電極(ITO)表面上に、各種の有機分子を化学的に結合させることでITO電極の表面自由エネルギーを制御する。親水性や疎水性の制御および表面の永久双極子の大きさの違いによって有機薄膜中の相分離構造がどのような影響を与えるかを検証する。第二に表面修飾したITO表面が、有機デバイスに用いる有機薄膜中の相分離構造といったモルフォロジー変化に及ぼす影響を明らかにする。特に、各種ポルフィリン誘導体とフラーレン誘導体のπ電子相互作用を利用した高次構造の形成を薄膜中で実現することを試みる。 第三に、モルフォロジー制御した薄膜を有機薄膜太陽電池へと実際に応用し、電極界面制御が素子特性に及ぼす影響を明らかにする。本研究を通じて、領域内で提案された材料群の中から高効率な有機デバイスに最適な材料系を見出すことを目指す。
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