計画研究
生体分子は進化の中で最適化された空間の制御系であり、蛋白質などのナノ反応場が精緻な制御を可能にしている。とりわけ光受容蛋白質は、レチナール、クロロフィル、フラビンといった分子のπ電子系を制御することでユニークな色や反応、機能を産み出しており、ボトムアップ型の高次空間を創製するにあたってのゴールともみなすことができる。本研究では、蛋白質による特異な波長制御、反応制御、機能制御に着目し、遺伝子改変によって変異を導入した光受容蛋白質に対して、赤外分光法などの分光学的手法を駆使した実験研究によりメカニズム解明を目指している。最終年度となる本年度は以下の成果を得ることができた。視物質ロドプシンの生体空間制御では、我々が色を識別する視物質に対する世界初の構造解析データをもとに、理論家と共同研究を行い、メカニズムに関する重要な知見を発表することができた。微生物型ロドプシンの生体π空間制御では、プロトンポンプはプロライドポンプに機能転換できるのに、なぜその逆ができないのか、という長年の謎を解明することができた。内部結合水の水素結合強度が決定的な役割を担っていたのである。海洋性細菌や真核生物のロドプシンに対する構造解析を行った。また光駆動のナトリウムポンプを発見したが、これは分野の常識を覆す画期的な研究成果と位置付けられる。フラビン蛋白質の生体空間制御では、CPD光産物を修復する光回復酵素の活性化や修復に伴う構造変化を捉えることに成功した。これらの成果はいずれも生体空間の特異性に迫る実験研究と位置付けることができる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち査読あり 18件) 学会発表 (79件) (うち招待講演 13件)
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