研究概要 |
本研究では,π電子豊冨分子が,高次構造体として組織化することで特異な相互作用が生じることに着目し,組織化構造におけるπ電子豊富分子の機能性に焦点をあてる.とくに自然界に存在するπ電子豊富分子の構造をモチーフとした新規機能性分子の開発を主眼とする.この研究遂行により,直接関連する生命化学分野での機能材料の開発はもちろん,生体模倣構造の有機エレクトロニクス分野での活用をも検討する. 本年度は,生体模倣構造をもつ芳香族分子の設計・合成および非天然骨格を導入した人工核酸の設計・合成・機能探索を行った.このうち人工核酸に関する研究では,将来の汎用化を目指した第二世代合成手法の開発に加え,新規骨格をもちいた新機能の開発を行った.新機能としてはアンチセンス遺伝情報をもつcDNAを細胞抽出物から高精度で合成する手法を開拓した.また人工核酸をもちいた有機半導体の設計・合成により,電子移動型二重らせんの構築を実現した.生体模倣構造をもつ芳香族分子の設計・合成では,2つのらせん型分子を組み合わせる分子設計により4重らせん構造をもつ新しい多環式芳香族分子の合成を行った.最終年度に向け,新規分子の設計・合成,さらに新機能探索が順調に進んでおり,来年度では,さらなる発展を見込んでいる.なお,領域内研究者との連携を深めており,今年度も共同研究成果を発表している.
|
今後の研究の推進方策 |
新奇機能のさらなる発展を目指した検討を進める.この検討では,合成法の成熟を諮るとともに,新規付与構造の検討を含め行う.また新学術領域研究であることを鑑み,領域内での連携をさらに深め,共同研究成果を得るべく努力する.
|