計画研究
ホタルによる黄緑色の発光反応は、発光基質ルシフェリン、ATP、分子状酸素、そして発光反応を触媒するタンパク質であるルシフェラーゼによる酵素反応である。ここで生成された励起状態のオキシルシフェリンが基底状態に落ちるときに励起エネルギーが光として放出され発光する。この反応における発光の量子収率は約41%であり、現存する発光反応の中で最も発光効率が良い。これは発光体であるオキシルシフェリンとルシフェラーゼが構成されたπ空間の中で巧みに相互作用しあうことにより生じるものであると考えられる。この詳細を明らかにするためには発光反応と立体構造の関係を明らかにすることが必要であり、野生型のルシフェラーゼのみならず様々な発光色変異体が必要となる,野生型のルシフェラーゼにおいて緑色に光らせるためには活性部位付近で構造変化が必須である。そこでこの構造変化に関わっているTyr257をAlaに変異した変異体を作成したところ、赤色に発光色が変化した。この変異体について発光活性を測定したところ、野生型に比べ約20分の1程度にまで発光強度が減少していた。すでに得られている他の赤色発光変異体において必ずしも発光強度が減少するわけではない。そこでY257A変異体の立体構造決定を行い、野生型、発光強度がそれほど減少しない赤色発光色変異体との立体構造を比較した。その結果、発光体であるオキシルシフェリンを取り囲む程度について、Y257Aが最もゆるく、化学反応によって得られたエネルギーをロスしてしまっていることが示唆された。
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