計画研究
本領域研究は海底熱水系は「海底下の大河」であり、その生態系の一次生産者の使う還元物質により「水素」「イオウ」「メタン」、そして「鉄の大河」の4つに分類されるという仮説を提唱した。特に領域中A01班にあたる本研究では、「イオウの大河」マリアナトラフと「水素の大河」中央インド洋海嶺において総合的な地質・地球物理学的探査を行い、それぞれの大河を規制する地質学的な背景を明らかにした。「イオウの大河」南部マリアナ熱水域では、自律型海中探査機(AUV)を利用して得られた精密な地形・地磁気データの解析を元に熱水域に特有の微地形、熱水循環による磁化の減少を発見し、さらに磁化減少域が海嶺軸部と軸から離れた場所で広さがまったく異なることを示した。また、地震計・海底電位差磁力計による観測を行い深部構造を明らかにした。観測期間中には自然地震がほとんど検知されず、マグマだまりと見られる低速度構造が見いだされたことから、主にマグマ活動の盛衰に規制された熱水系であることがわかった。また、海底電位差磁力計データから推定した上部マントル比抵抗構造により、島弧と背弧の火成活動の両方の影響があることを明らかにした。中央インド洋海嶺Kairei熱水フィールド「水素の大河」では、地形・地磁気・重力等による調査とドレッジと潜水船による集中的な岩石採取を実施した。その結果、熱水系周辺に地下深部物質(ガブロ・カンラン岩類)が露出する構造が複数存在し、マグマが欠乏した環境下でのテクトニックな拡大が数百万年にわたって優勢であったことを明らかにした。熱水の組成と併せて考察すると、Kaireiフィールドはテクトニクスに起因するガブロ・カンラン岩類の存在と海嶺軸部の火成活動との双方に規制されるとわかった。地震観測の結果からは、Kaireiフィールドの北で断層活動が現在起きていることを示唆する微小地震分布が明らかになっている。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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