計画研究
平成22年度は本研究の3年目にあたる。地球化学的手法および生物学的手法による年代情報を重ね合わせる研究を実海域で行うために、南部マリアナ熱水活動域で「しんかい6500」潜航調査航海を行い、熱水性鉱石や岩石などの地質試料の採取と熱水域固有種の成体・プランクトン幼生の分布調査および採集をおこなった。またこれとは別に石橋(研究代表者)は、沖縄トラフ熱水活動域で実施されたIODP Expedition 331航海に参加して、最大深度150mにおよぶ熱水域海底下からの鉱石試料・堆積物試料を取得した。地球化学的研究では、南部マリアナ熱水活動域で採取された熱水性鉱石試料に対して、異なる年代決定の手法によるクロスチェックを実施した。中井(研究分担者)は、磁性によって分離したU/Th比の異なる部位の測定からアイソクロンを得ることで、230Th-234Uの放射非平衡を用いた年代決定の精度を高めた。豊田(研究分担者)は熊谷(研究分担者)と協力して「しんかい6500」潜航調査などの機会を利用した熱水活動域の放射線測定を実施して、ESR法による年代決定に必要な年間放射線積算量の確度を高めた。クロスチェックによって、両者による年代値に差が見られるものの鉱石の成長に対する傾向は一致した結果を得ることができた。また熊谷は、加熱レーザ装置を用いた熱水変質年代測定システムによる実試料の分析試験を行った。生物学的研究では、小島(研究分担者)は、渡部(連携研究者)と協力しながら、熱水噴出域生物群集の分散・形成から熱水噴出域の活動史を推定することを目的として、昨年度開発した遺伝子マーカー等を用いた集団構造と幼生分散の推定をおこなった。また渡部はインド洋中央海嶺において同様の研究調査をおこなうとともに、熱水域固有種ヨモツヘグイニナで新しい幼生型を発見した。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (27件)
Geochem.Geophys.Geosyst.
巻: 11 ページ: Q12013
Advances in ESR Applications
巻: 27 ページ: 4-6
Geochronometria
巻: 37 ページ: 57-61
Biol.Bull.
巻: 219 ページ: 7-11
海洋と生物
巻: 32 ページ: 561-566